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2008年1月15日 (火)

歯軋りをしながら

気分が沈んだ時に、音楽を聴くのはよくある事だ。

勿論、ジャズを聴く事が一番多いのだけれど、ジャズ以外の音楽を聴く事だってある。ジャズ以外で取り分け好きなのは、ザ・ブルー・ハーツ。私は彼らの音楽性にとても影響を受けている。

中心メンバーだった甲本ヒロトと真島昌利。ザ・ブルー・ハーツを解散した後にはザ・ハイロウズを結成、そしてハイロウズ解散後にはザ・クロマニヨンズを結成し現在に至る。歌詞の抽象度が次第に増してきたりするような変化はあるものの、彼らは一貫してものすごく「質の高い音楽」を作っている。少なくとも私はそう感じる。

技術的には大して高くない音楽。彼らの音楽に対して一時は私もそう感じていた事がある。勿論それは逆説的に「それでも心に響く素晴らしい音楽」という認識ではあったのだが。しかし、よくよく聴いてみると、彼らはものすごく高い音楽の技術を有している事がすぐにわかる。そもそも聴き手の心に届く音楽を創り上げるのには、やはり相当の技術が要るのだ。

彼らが幾つか有するハイレベルな技術の中での白眉は、私は「言葉の聞こえてくる音楽」或いは「言葉を聞かせる技術」だと感じている。

どんな大音量で音楽を鳴らそうと、逆に消え入るような小さな音で音楽を奏でようと、彼らの歌う歌は、その言葉が一言一言明確に私の耳に聴こえて来る。ヒロトの叫ぶ言葉は、一言一句はっきりと私の耳に届いてくるのだ。

日本語としての発音がはっきりとしている。それもある。メロディに言葉を乗せる。もっと原始的なレベルで言えば、リズムにメロディを乗せる。たったそれだけの事を徹底して彼らはやっている。だからこそ、どの言葉も私の耳に明確に届く。すごい技術だと、私は改めて感服する。

私自身がピアノを弾く際に何より心がけている事、そして私が思い描く「音楽の理想的な姿」を彼らはジャズというフィールドとは別の所で、見事に具現化していると感じるのだ。

複雑なアドリブソロをする事がジャズなのだろうか。難解なポリリズムを組み立てる事がジャズなのだろうか。それもあるだろう。しかし、それらは所詮副産物に過ぎない。

綺麗な(という言い方も抽象的なのだが)音をリズムに乗せる。たったそれだけの事で、見事にジャズは成り立ってしまうのではないだろうか。それはヒロトやマーシーが音楽を創り上げる過程に酷似している。

昼過ぎに、比較的大きな音で「1000のバイオリン」という曲を聴いていた。

誰かに金を貸してた気がする
そんな事はもうどうでもいいのだ
思い出は熱いトタン屋根の上
アイスクリームみたいに溶けてった
(「1000のバイオリン」)

不安な事もたくさんある。何とかなるのだ。何とか。楽しい事をたくさんしたい。面白い事をたくさんしたい。いかんな、今日はあまり笑いの要素を持たせずに書いてしまったな。

そうそう、来週ライブをします。

良ければ見に来てやって下さい。

1月25日(金)東京金町 Jazz inn blue
tel 080-1263-0955
http://www.jazz-inn-blue.net/component/option,com_frontpage/Itemid,1/
pf:福島剛 b:長谷川明弘 ds;松永博行
このトリオでは、第二弾。ぼくが頭に思い描く「ピアノトリオのあるべき姿」を具現化させるために、そして演奏しながらその姿を幾重にも変化させていくために、長谷川氏と松永氏の力を借りてやっております。良いバンドだと思います。個人的には、一番好きなフォーマットなんです、このピアノトリオという形態。ぼく自身も愉しみです。
20:00~start music charge:1500円

という事で最後は宣伝でした。宜しく。

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