幸せな死に方
日曜日に総武線に乗ると、錦糸町駅で降りる多くの人を目にする事が出来る。勿論全員がそうではないが、その多くの人はスポーツ新聞ないし競馬新聞を手に持っている。場外馬券売り場、通称winsがあるからだ。そういえば秋レースのG1戦線が間もなく開幕する。私は競馬をやらなくなって久しい為、今どういったレースが開催されているかまではわからないが、これはこれで一つの風物詩である。電車内にて赤ペンを耳に挟みながら、競馬新聞と睨み合う初老の男性の姿は極めて腑に落ちる。女子供がはしゃぎながらするギャンブルなど、何の風情もないではないか。
車内を見ていると、そうした馬券購入に向かうとおぼしき人の群れの中に、身体中から管を通した男性が見受けられた。私の読みでは、何かしらの病気で現在入院中の患者である。
しかし、右手には点滴類の液体を入れたバッグを運ぶキャリーカー、左手にはしっかりと競馬新聞である。
オッサン、お前は大人しく病院で寝とけよ、と私は心中で毒づくが、オッサンは本当に競馬が好きなんだろうとも思う。彼の脳裏には、シンザンやシンボリルドルフの雄姿が今も鮮明に思い返されている事だろう。
家族に看取られながら、布団の上で死ぬ事だけが本当に良い死に方なんだろうか、と私は、思う。
幸せな生き方が十人十色であるように、幸せな死に方もまた十人十色だ。
名も知らぬ男性の幸せな最期を、私はこっそりと祈った。
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コメント
人はそれぞれ、生きて来たようなやりかたで死んで行くものです。
幸せであろうとなかろうと、これが、私の生き方死に方だと、思えるように歩いて行きたいと思います。
投稿: ポン | 2007年10月16日 (火) 02時59分
ポンさんへ
コメントありがとうございます。興味深いですね。確かに生き方が死に方を左右するのかも知れない。なるほどなあ、と思いました。
幸せかどうか、っていうのはあくまで個人的な問題ですよね。誰に規定されるのも可笑しな話だ。
投稿: ふくしまたけし | 2007年10月19日 (金) 11時29分