自転車に乗って
先日の事。
夜間、自転車に乗っていると、警察に止められた。
「はーい、お兄さーん、ちょっといいかなー」
所謂職務質問というヤツだな。私はこの職務質問には随分と縁が深い。まず間違いなく止められる。
「この自転車、ごめんねー、疑ってる訳じゃないんだけど、防犯登録だけ、ちょっと調べさせてくれるかなー」
勝手にしろ。眼前の自転車は、私の自転車「流星号(今つけた名前だが)」に些かも相違ない。盗品であるはずがなかろう。好き勝手に調べれば良い、と思っていたのだが、私はその時少しだけ急いでいたので、警察の悠長な対応に、若干の苛立ちを感じていた。
「もういいかい?」私は警察に尋ねる。私は君と世間話をしたい気分ではないのだ。
「ごめんねー、あとちょっとだけ」警察は、立ち去ろうとする私を遮った。
「今帰るところかな?」
違う、と私は答える。友達に会いに行くところだ、と。
すると唐突に警察私にこう尋ねた。
「お兄さん、失礼だけど職業は?」
これまでの質問と私の職業と、何の関係があろうか。私の職業など知ってどうするのだ。色んなことがどうでもよくなってきた。
私は憮然として「ピアニストだ」と答えた。
警察が薄ら笑いを浮かべる。
「ちょっとちょっと、真面目に答えてよー。面倒くさいのはわかるけど、そんな適当な嘘ばっかり言わないでよー」
「嘘じゃねえよ!ホントにピアニストなんだよ!譜面は読めねえけどよ!」
私は苛立ちながら言う。警察はまだ納得しない。
「あー、じゃあもういい!ピアニストじゃなくていい!自由業か何かって思っといてくれ!余計なお世話だ!」
「わかった、怒んないでよー。今仕事帰り?」
私はその時悟った。こいつは、暇なのだ。勤務とは言え、夜中に路上に立たされて、私のように風体の怪しげなヤツでも来れば、それは質問も重ねたいであろう。そうか、わかった、同情する。しかし、私は今はお前とは話したくない。
「友達のとこ行くの!もう良いだろ、行くからね!」
私がそういうと、警察は「気をつけてねー」と愛想良く手を振った。
なるほど。警察の業務はなかなかに退屈そうなものもあるな。
ちなみに、友達と会うまでに、私は更に二回、職務質問を受けた。
もはや、ベテランの域である。
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コメント
どんだけ怪しいんですか(笑)
いや、いや、ご苦労様です!!
投稿: りん | 2007年10月15日 (月) 12時07分
りんさんへ
うーん、怪しいんでしょうねえ、そりゃあ。昔っからよく止められるんですよ。人相、そんなに悪いかなあ。
投稿: ふくしまたけし | 2007年10月19日 (金) 11時26分