私は小岩がとても好きだ
私の中学は、ちょっぴりやんちゃな奴が多かった。お世辞にも上品な中学ではなかった。今はどうかは知らないけど。
高校は随分と上品な所だったから、私はずっと居心地が悪かった。息苦しかった。
それが原因なのかどうかはわからないけれど、私が昔から未だに付き合いを持つ人間は、中学時代の友人が多い。数人だが。
私は今日、自分のピアノ教室のチラシを小岩の色々な店に置かせてもらいに行っていた。断られた店もたくさんあったし、快く置いてくれた店もあった。それは大した問題じゃない。
とある美容院にチラシを置かせてもらおうと赴いた時、私はそこに中学時代の友人のいる事を知っていた。以前、ばったり呑み屋で鉢合わせた彼にその事を聞いていたのだ。それも随分と前の話だ。
私と彼は、中学時代、とても仲が悪かった。よく殴り合った。多分、結構酷い怪我もさせた事がある。
以前呑み屋で遭遇した時には、彼はその遺恨など微塵も持ち出さずに、共に愉しい酒を酌み交わしてくれた。嬉しかった。
それでも、彼の働く美容院を訪れるのに、私は或る逡巡を感じていた。それは、そういった過去の遺恨だけが原因だったのだろうか。
彼の店の敷居を跨いで、「久しぶり。オレ。わかる?」と私は彼に喋りかけた。
彼は些か大袈裟に驚いた表情を作り、私に笑顔を返した。「久しぶり。わかるよ。お前、どうしたんだよ?」と。
私は簡単に、今年の四月に小岩に戻り、ピアノで生計を立てようとしている旨を彼に伝えた。彼は美容師になってもう十年以上が経つのだ、と私に教えてくれた。後ろめたさよりも遥かに懐かしさの勝る事に、私は戸惑いすら感じていた。
彼の顔はピアスだらけだったし、一見すれば「厄介な」人間のようにも見えた。けれど、彼が、「お前、すげえな、頑張れよ、オレ、応援するよ」と言ってくれる度に、私は泣きそうなほどに嬉しかった。とても、勇気づけられた。
彼だけのみならず、中学時代の同級生に会うと、私はこうした不思議な感慨と感傷にふける。頻繁に会う中学時代の友人は、二人ほどしかいないが、彼らと会う時にも私は何とも言えない感謝の念を抱く事がよくある。一人は葛西でイタリア料理屋をやっている。一人はもうすぐ二児の父になる。
友人の存在に、改めて感謝する。
こういう事を書くのは、とても恥ずかしいのだけれど。
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コメント
恥ずかしくなんかないですよー!
私にはそういう友達がいないし、福島さんのような夢というかやりたい事もなくて、とても羨ましい。
お友達のセリフじゃないけど、「お前、スゲエよ!」と古い友人なら言ってる事でしょう。
かっこいいです。
これからも頑張って下さい。
投稿: 玉子 | 2007年10月24日 (水) 23時12分
玉子さんへ
ありがとうございます。
友達の存在というのは、本当にありがたいものですね。何だかそういった当たり前の、普段忘れがちな事を、ふと思い出しただけの話なのです。
頑張ります。
投稿: ふくしまたけし | 2007年10月30日 (火) 14時52分