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2007年3月24日 (土)

鴨志田穣さんのこと

書こうか書くまいか迷った話題を、迷った末に書く。

鴨志田穣氏、永眠の報。腎臓がんだという。

鴨志田穣氏、彼について知らない方の為に簡単に説明すると、彼はカメラマンで小説家である。20代や30代の前半ほどにカメラマンとして戦地を巡り、その時の経験を元に幾つかの小説を書いた。「アジアパー伝」や「酔いが覚めたら家に帰ろう」などの著作が有名である。

しかし、残念ながら、彼の紹介の手段として最も有効なのは以下の一文である。

「鴨志田穣、漫画家西原理恵子の元夫」

そう、彼は漫画家西原理恵子の描く「カモちゃん」として大多数の世間に認知されていた。これは複雑な気持ちもあるが、事実である。

西原理恵子(以下サイバラ)と鴨志田穣(以下カモちゃん)は、数年前に離婚をしている。原因はカモちゃんのアルコール依存症だという。

当時のサイバラの漫画にその様子はコミカルに描かれていたが、そのコミカルさが余計に切なさを誘った。夫婦とは、家族とは、といったサイバラが描き続けてきたテーマが、実生活を媒体にして作品に反映された。

家族ってなんだろね。ぼくはわかりあえなくても良いって思ってる。

(「ぼくんち」より)

サイバラは、カモちゃんを「わかろう」としたのではなかったのに違いない。きっと、ただ単純に「赦し」たのだ。

カモちゃんがガンの告知と共に余命宣告されて以来、サイバラはカモちゃんと再び生活を共にしたのだという。カモちゃんはサイバラにどこまでも惚れ込んでいたし、惚れた女の下で死なせてやろうという、サイバラの心意気だ。

カモちゃんは、惚れたサイバラの下で死んだ。幸せだったのだろうか。私にはわからない。けれど、幸せであってほしい。そう願う。

カモちゃんの葬式(身内による密葬らしいが)の喪主は西原理恵子とあった。

素晴らしい女だと、改めて感服した。

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