白くて妖しい
雪だ。
今年の冬は暖冬らしく、京都では全く雪を見なかった。昨年は随分降ったのに。
私は北国の出身ではない。東京の喧騒の中で育った人間なので、私にとって雪は非日常的なものであると同時に、その非日常性ゆえに何か得体の知れぬ高揚感を私にもたらす。
私は先ほど30分ばかり散歩に出た。雪は、確かに降っていた。私の心は小躍りした。
脳内ウォークマンの再生スイッチを入れると、そこからアビーリンカーンの歌う「Afro Blue」が流れ出した。昨日から何回か聴いていたせいだろう。ピアノはウィントンケリー、ドラムはマックスローチ。ケリーのピアノとローチのドラムは相性が悪いと私は個人的に思っているのだが、ここでも今一つ腑に落ちない。しかし、それを補うかのようにスタンリータレンタインとケニードーハムのホーンセクションがリフレインを吹くことで、演奏には奇妙な統一感が生まれている。私は脳内で流れるその演奏に合わせて口笛を吹く。上手く吹けない。私は口笛が苦手なのだ。間違えながら口笛を吹き続けていると、脳内では曲がランディウェストンの「High Fly」に変わっていた。今度はそれに合わせて鼻歌を歌った。きっと私は上機嫌だったに違いない。
家に帰った。相変わらずの汚い部屋がそこにあった。
気分はいくらかマシになっていた。
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