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2007年2月

2007年2月27日 (火)

煮込みながら

カレーを作る。

グツグツと煮込む。この煮込む動作が私は好きだ。

私は時間の魔術師だ。時間をかけて煮込めば煮込むほど、カレーは美味くなる。

煮込みながらNHKのドキュメンタリーを見る。バックパッカーという名のボンクラ野郎共のドキュメンタリー。うだつのあがらないボンクラ外人が、東京山谷の簡易宿泊所で「自分探し」をする。

私も嘗てバックパックを背負いながら旅行をした事がある為、彼らのボンクラぶりは決して笑えない。

何がしたいのだろう。何が出来るのだろう。どこへ行くのだろう。

薄暗く狭い部屋の中でぼんやりと金玉をいじりながらそんな事を思う。どこへも進めない。最初の一歩が踏み出せない。私も長いことウジウジと貧窮した。

さて、再びカレーにとりかかろう。

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2007年2月25日 (日)

「スウィングガールズ」を観て

久しぶりに家で独りでのんびりテレビを見る。何だかんだとここの所忙しい日々を過ごしていた。あくまで私レベルの「忙しさ」であるが。

テレビでやっていた映画「スウィングガールズ」を見る。以前一度見た事があるのだが、再び見る。娯楽映画としてはなかなかに面白い。私は好きだ。

私の記憶力は死ぬ直前の痴呆老人レベルであるので忘れてしまったが、以前にもこの「スウィングガールズ」についてブログ内で書いたような気がする。まあ良いか。再び書こう。

「スウィングガールズ」を見ると、私がジャズを始めたばかりの頃を思い出す。勿論今でも私はヘタクソで有名なピアニストであるが、ジャズを始めた七年ほど前は、まさしく「歩く騒音公害」以外の何物でもなかった。

けれど、しかし、である。

楽しかったなあ、毎日毎日ピアノに触れるのが。何時間でも弾き続けられたもんなあ。

ヘタクソ過ぎるから、セッションに行っても殆ど誰にも相手にされなかった。ロクにピアノも弾けないクセに、態度だけは生意気だったのも原因だ(これは今もそうだな笑)。身の程知らず。

色んな人からストレートにもやんわりとも「ジャズなんてやめときなさい」「ピアノの才能ないよ」と言われた。悔しかったなあ。最近でもちょこちょこ言われるけど、そういう時はヘラヘラ笑って「まあ良いじゃないっスか、ぼちぼちやりますわ」とはぐらかす事にしている。最近は「辞めない」のではなくて「辞められない」のだ、という事に気付いたので、人から音楽について何かを言われても一向に動じない。生意気加減には更に拍車がかかってきた訳だ。言い訳を一つ言うならば、アドバイスなどは比較的謙虚に聞くのだけれど。

「スウィングガールズ」のラストは、コンクールで拍手を浴びて幕を閉じる。そうなんだ、好きな音楽をやって拍手を浴びる快感、あれは麻薬だ。ヘロインより危険な麻薬だ。

ジャズって良いよ。好きだよ。色々な事を思い出した。次は3月3日のダブルヘッダーか。楽しみだ。

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2007年2月23日 (金)

やめてしまえぬものか

最近タバコを吸うと高確率で(城島の盗塁阻止率ぐらい)えづく。

いよいよ禁煙か。

禁酒も達成出来たならば私は神なのだが。

無理なのだろうな、きっと。

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2007年2月21日 (水)

3月スケジュール

京都在住はもう9年になります。

来月4月に、その京都を暫く離れようと思います。

という事で、京都でお届けするライブシリーズ、当面は最終回です。勿論、ちょこちょこ京都に戻ってきて演奏、という事はあると思いますが(実際、5月後半には、京都での演奏の予定が入っています)、今までのように一ヶ月に10本以上のライブを京都でやる、というのは暫くはありません。という事で、皆さん、ライブに来てくださいな!

2007年3月

3月3日(土)四条河原町GreenwichHouse
tel 075-212-5041
http://www.greenwich-house.com/
ts:黒田雅之 pf:福島剛
「やかましい」、「大人気ない」、「激しい」でお馴染みのデュオ。何一つ奇を衒う事無く、真っ直ぐやります。
15:00~start  music charge:カンパ制

3月3日(土)岩倉cafe jinta
tel 075-724-2534
http://www.cafe-jinta.com/
vo:岩井繭子 b:鶴賀信高 pf:福島剛
昨年岩倉に出来たcafe jintaに初出演。客としてはしょっちゅうぼくも出没する店です。もうとにかくカレーが美味い。良いお店です。
19:00~start music charge:1000円

3月9日(金)祇園 pick up  tel 075-525-0595
http://www.gion-pickup.com/
第二・四金曜日の深夜はジャムセッションやってます。
00:30~start  music charge:2000円

3月11日(日)四条河原町GreenwichHouse
tel 075-212-5041
http://www.greenwich-house.com/
ds:副島正一郎 b:椿原栄弘 pf:福島剛
「激しい演奏で古いジャズを」という何とも珍しいコンセプトのバンド「ネ副(NEZOE)」です。ドラムもベースもバッチバチです。昼間から手加減抜きでいきます。
15:00~start  music charge:カンパ制

3月11日(日)岡崎ZAC BARAN tel 075-751-9748
http://www.secondhouse.co.jp/
tap:清宮悟 b:鶴賀信高 pf:福島剛
タップダンス祭り第二弾。ジャズとタップダンスの融合。タップのサウンド的な位置付けは、パーカッション的なもの、という事になるんでしょうが、勿論ライブならでは、視覚にも訴えます。愉しいですよ。是非。
19:00~start  music charge:カンパ制

3月13日(火)北山 mojowest  tel 075-706-8869
http://www.mojo-west.com/
sax:黒田雅之 b:鶴賀信高 ds:古賀俊輝 pf:福島剛
毎月第2火曜は何があろうとmojowestで、このメンバーでやってます。と言いたいのですが、このバンドのmojowestでのライブは、これが最終回です。仲が悪いから、とかではありません笑。春は旅立ちの季節なんですねえ。
20:00~start  music charge:カンパ制

3月16日(土)木屋町menomosso tel 075-211-8626
http://www.geocities.jp/bar_meno_mosso/
pf:福島剛
メノモッソのオンボロピアノと格闘し続けたピアノソロも、名残を惜しみながら一まずの最終回。先月と同じ事を書きますが、BGMではありませんよ。こってりいきますよ。
21:00~start music charge:カンパ制

3月17日(土)出町柳MAAM tel 075-771-3190
http://www.kyotozanmai.com/user/maam/maam/
vo:市川芳枝 b:木村知之 ds:飛世昇 pf:福島剛
再び芳枝さんとライブをさせて頂く機会に恵まれました。リズムセクションは関西最凶(?)メンバー。燃えない訳がありません。関西を離れる僕にとっても、最高の餞別です。心を震わせるブルーズを、熱い魂のジャズを是非聴きに来て下さい。見に来ていただければ、決して後悔はさせません。
20:00~start  music charge:2500円with1drink

3月21日(水祝日)深草ざぶざぶ
tel 075-642-6348
http://www7a.biglobe.ne.jp/~zabuzabu/
vo:岩井繭子 b:鶴賀信高 pf:福島剛
深草の夜がどれだけ熱いものなのかを知りたければ、この「ざぶざぶ」に来れば良いのです。京都屈指の素晴らしいジャズライブハウスです。張り切って(死語?)やります!
19:30~start music charge:1500円

3月24日(土)四条河原町GreenwichHouse
tel 075-212-5041
http://www.greenwich-house.com/
vo:須和龍一 sax:黒田雅之 pf:福島剛
昼間から悪魔の音楽、ブルーズをお届けいたします。濃い目、というレベルではなく、濃縮、というレベルです。ブルーズは、良いよねえ・・・
15:00~start  music charge:カンパ制

3月24日(土)祇園 pick up  tel 075-525-0595
http://www.gion-pickup.com/
第二・四金曜日の深夜にやっていたpick upでのセッションも、ぼくがホストを務めるのは最終回。この日は土曜日です。気をつけてください。最後にみんなで演奏して盛り上がりましょう。
00:30~start  music charge:2000円

今のところ以上です。

もう一本、また「例のボーカリスト」をフロントにしたがえたスペシャルライブの話も進んでいます。近々報告できると思いますので、愉しみにしていて下さいね。

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2007年2月19日 (月)

あらぶしゅぷりーむ

コルトレーンの『至上の愛』を大音量で流しながら家の掃除をするという、極めて近所迷惑な真似をしています。

コルトレーン、マッコイ、ギャリソン、エルヴィン、こいつら全員アホだ。

いやあ、掃除が捗らねえ。良いアルバムだ!

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玉と砕けよ

一年ほど前から鳥肌実という芸人が好きだ。

彼のジャンルは「右翼芸人」という、斬新過ぎてテレビに出られないジャンル。一度だけ出た事があったが、放送禁止の「ピー」ばかりで何を言っているのかさっぱりわからなかった。

「ピーは水に沈むんです」

いや、このネタ知ってるからわかるんだけど、ピーの部分には「とある人種」が入る。どんだけブラックジョークなんだ、お前は。

政治的な力を随分と持っている某宗教団体をボロカスに貶した直後に、「尊敬する人はI田D作でございます」と言ったり、支離滅裂も良いところ。危険だなあ。

しかし私は彼の芸風を高く評価したいのは、「鳥肌実は思想を持たない」という一点だ。

彼は右翼の真似をして左翼を虚仮にする。そして右翼の形で笑いを取る事で、右翼をも虚仮にしている。なかなかに素晴らしい。

いやね、久しぶりに鳥肌実の映像を見てゲラゲラ笑っていたので、こんな事を急に書きたくなった訳ですわ。

勿論大丈夫。

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2007年2月17日 (土)

H2O

初の女性か、初の黒人か。

無論アメリカ次期大統領選挙の話だ。俄かに報道にも熱が入り出したが、私としては今の所まだ何も言えない。勉強不足もあって情報が余りにも不足している故だ。

情報の捉え方に関して、評論家の吉本隆明氏が非常に興味深い事を言っている。

「酸素と水素」を見つければ「水」ができる。

つまり、分析したい問題を「水」として、「酸素と水素」にあたる情報が何なのかをうまく見つけることが出来れば、どこの国のどんな問題でもだいたい当たる(以上、吉本隆明『悪人正機』より抜粋)

との事だ。

非常に強く感心させられた。と同時に私は一つの言葉を思い出す事となった。

私は非常に好きな言葉であるので、折に触れて言及する宮沢賢治の言葉だ。

「けれどもし、おまえがほんとうに勉強して、実験でちゃんとほんとうの考えとうその考えとを分けてしまえば、その実験の方法さえきまれば、もう信仰も化学も同じようになる。」(宮沢賢治『銀河鉄道の夜』より)

ブルカニロ博士の言葉であるが、実は上記の言葉は補遺稿に収められたものであり、通常の『銀河鉄道の夜』には収められていない。私がこの言葉を知ったのは、奇しくも吉本隆明氏の著作からであるのだ。

吉本隆明氏は、自らの著作の中で度々上記の宮沢賢治の言葉に言及している。彼がこの言葉に拘る意図を、私は「酸素と水素があれば水が出来る」という所から更に噛み砕いて知ったような気になった。

つまり、酸素と水素がなければ水は出来ない、酸素と窒素では水にはならない、という事だ。

「ほんとうの考え」は、唯一酸素と水素だ。この場合、窒素や炭素は「うその考え」となる。

私はまだ、アメリカ次期大統領選挙に関してはきちんとした情報を仕入れていない。私にはまだ水は作れない、という事だ。つまりまだ何とも言い難い。きっとこの問題に関しては私は酸素と水素をより分ける事は出来ないのであろうが。

また吉本隆明氏の補足の言葉には、もう一つ興味深いものがあった。最後にそれを紹介する。

化学の理屈として、何か問題を分析する際に、必要な情報の中に「そういうことはあるだろう。あるって言っちゃってもいいぜ」っていうものを探して前提にすることがあるんです。(同『悪人正機』より)

H2Oは、あくまでも「前提」であるのだ。いやはや、面白い。

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2007年2月16日 (金)

吉本新喜劇

気が付くとブログの更新をサボってしまう。このブログには、出来る限りそれなりのボリュームのある文章を載せたいという欲望がある為、一言だけの文章(というか言葉、か)や一発ギャグは、出来れば封印したいと思っている。書いた所であまりウケない、というのもあるのだが。

今日は、吉本新喜劇の話をした。私は東京生まれヒップホップ育ちな為、吉本新喜劇を見ながら育っていないのだが、どうやら関西圏の人達は、インド人がカレーを食べながら育つ、ぐらいの勢いで吉本新喜劇を見ながら育つらしい。

そして吉本の真骨頂は「予定調和の笑い」に尽きる、との事だった。なかなかに奥が深い。

予定調和的な物は創造的な物の正反対に位置する、と得てして考えられがちであるが、果たしてそうなのだろうか。予定調和とは、反復とニアリーイコールである。万物は反復する。ならば、予定調和的な中から生まれいづる笑いというのは、森羅万象の表象にも近いかも知れぬ。

何を書いているかわからなくなってきた。

眠い。

寝る。

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2007年2月13日 (火)

宣伝と近況

本日は北山モジョウエストにて20:00からライブ。サックス黒田雅之、ベース鶴賀信高、ドラム古賀俊輝、ピアノ福島剛。投げ銭なのでどうぞ気軽に。ミュージシャンの方はセッションしましょう。

以上、宣伝終わり。

ここから先は徒然の事を。

最近、私の生活にちょっとした変化があった。詳しくは書かない。いささか恥ずかしいので。しかしその変化によって私の生活は、或いは私の感情は、ひどく穏やかなものになった。

それなりの充実感を伴いながら生きている私がいる。鬱屈としながら日々を過ごす事に慣れきってしまっているせいか、むしろ奇妙な居心地の悪さのようなものを感じる。

私は無意味さと不確実さが好きだ。それを愛している。しかし、私の生活にほんの一片の意味が付与され、ほんの一片の確実さが付与されている事を、私はさほど苦にしていない。何とも奇妙な気分である。

ただ、しばらくは渇望し、飢餓の中にいたい。そうでなければバランスが取れない。

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2007年2月10日 (土)

持て余す

深夜四時、祇園からの帰り道。霧雨が鴨川にうっすらと靄をかけているのが視界に入る。冬真っ盛りの筈の二月だと言うのに、辺りはやけに生暖かい。

私は原付を鴨川の傍らに止めて、川原に立ち尽くした。

水が、流れてゆく。

自分でも持て余す感情が私の中で湧いていて、奇妙に居心地が悪い。

祇園に行く前に、出町柳のジャズ喫茶「ラッシュライフ」に寄った。四本弦のギターを弾く、おかしなギタリストのレコードを聴いていた。ブルースなのかジャズなのか判然としない、けれど間違いなく私の「好み」のタイプのギタリスト。名前は忘れた。

そのギタリストのレコードが終わって店を出た。

祇園に行く前に、ほんの刹那、人に会った。一分か二分かの話。

たったそれだけの話。

水の流れる音を聞きながら、そんな事を思い出していた。

鴨川で暫く呆けてから、私は家へ向かった。

私は今、自らの感情を持て余している。

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2007年2月 9日 (金)

挨拶

私に宛てた、書きかけの手紙を、つまりその下書きを頂いた。

別段何が書いてある訳でもない。

暖かい言葉で挨拶が綴られていた。

私は何回もそれを読み返す。

何回も挨拶に挨拶を重ねる。

私は前に進めない。

私は後ろにも戻れない。

立ち止まって、こんにちはとさようならを繰り返す。

何度も何度も。

こんにちは。

さようなら。

こんにちは。

さようなら。

さようなら。

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2007年2月 8日 (木)

深夜の慰め

珍しく午前1時前に寝付いたにも関わらず、三時間後の午前4時にはしっかりと目を覚ます。相も変わらず眠りが浅い。お陰で可笑しな夢ばかり見る。

花鳥風月。バナナ。カレー。

何から何まで脈絡は無いのが夢の世界の良い所だ。

嘗てよく深夜ラジオを聞いた。深夜ラジオは殆どの番組が深夜1時過ぎからスタートする。オールナイトニッポン、深夜のバカ力、爆笑問題カウボーイ。私は徹底してAM放送を愛していたため、私の言う深夜ラジオとは当然上記のような番組を指す。洋楽やジャズが流れるFMには、興味はない。

深夜ラジオを聞いていると、不思議と安心した気持ちになっていたのを思い出す。DJがリスナーからのふざけ倒したハガキを読む。ふざけ倒したハガキを書く事に情熱を費やすハガキ職人なる連中がいるのだ。素晴らしい世界だ。私はそのハガキに記されたネタをラジオから聞いて、布団の中で腹を抱えて笑う。そしてラジオのこちら側にいる、私以外の誰かも、いささか離れた所でそのネタを聞いてきっと笑っている。布団の中で腹を抱えながら。

その事を思うと、私の心は奇妙に慰められる。時が止まったかのごとき深夜の静寂の中で、取るに足らないバカ話をラジオから聞いて笑っているのは私独りでは、ない。無為な時間の中で焦燥し、苛立っているのは私独りではないのだ。

孤独にラジオを聞く事は、図らずも孤独を癒やす。ラジオ番組は下らなければ下らないほど良い。伊集院光、爆笑問題、ナインティナイン、松村邦洋、私の10代は彼らに癒された。

お陰で童貞をこじらせた。

今、我が家にはラジオがない。

進化した私の携帯電話はラジオが聞けるが、それはFMしか聞けない。

何かが私の生活からは失われていく。

最早私はラジオを必要としていないのだろうか。

そうだとするならば、随分と寂しい話である。

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2007年2月 6日 (火)

国家権力と冤罪

昼にインド料理屋でカレーを食べ、映画を見に行ってから賀茂川でビールを飲む、というビックリするほどにベタなデートをしてしまう。愉しかったから良いのだが、中学生のような事をしている27歳の現実に苦笑が漏れる。

映画は「それでも、僕はやってない」という映画を見に行く。痴漢冤罪にまつわる映画だが、興味深かった。

裁判において、警察と検察は基本的に「有罪」というスタンスで案件を裁判所に移送する。ならばそれを覆す「無罪」という判決は、国家と国家権力に楯突く行為とも取れる訳だ。

ならば、「冤罪」を扱う映画そのものも、国家権力に対するアンチテーゼとも取れる。それが微細に描かれていればなおのこと、である。

本作は極めて現実的に「冤罪」を描いている。国家権力に正面切って喧嘩を売る周防正行監督、なかなかに根性が据わっている。

何だかデートの事を詳細に書くのは間抜けなので、今日は此処で筆をおく。最早十分間抜けであろうか。

沈んだ気持ちは、少しだけマシになった。

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2007年2月 5日 (月)

なつかない猫が、死んだ。

私が六年前に京都で拾った猫だ。

私が拾った当時、彼女は産まれたばかりの子猫で、なおかつ死にかけていた。野良猫が発する独特の「死に近い」臭いを発していた。

私は家に持ち帰り、看病をしたりミルクをあげたりしてみたが、彼女は一向に良くならなかった。彼女は私の家の至る所で糞尿を撒き散らし、ぐったりと頭を垂れていた。

今も昔も私は貧乏だ。当時も今と変わらず貧乏だったが、仕方ないと思い、私は身銭を切って彼女を病院に連れて行った。実際金は足りなかった。受付で「ツケには出来んのか!サカサに振ってもこれ以上出て来ねえぞ!」と私が怒鳴っていたら、近くにいた金持ちそうなオバハンが残りの金額を出してくれた。段ボールに入れて、バスタオルにくるめて私は彼女を病院へ連れて行った。死にかけていた彼女と私は同じぐらいみすぼらしかった。

彼女は当時の私の家で飼った。しばらくして私は自らの体の異変に気付いた。

喘息の発作がひどい。目が痒い。くしゃみが出る。

春だったので、私は花粉症と喘息の発作が同時に来たのだろうと思った。

違った。猫アレルギーだった。

私はそれ以上猫を飼えない事がわかった。

しかし、再び捨てる事は出来ない。私にも情が芽生えていたし、何より私は猫が好きなのだ。

困り果てた私は母親に電話をした。東京の実家で猫を一匹世話してやってくれやしないだろうか、と。

思いの外、話はとんとん拍子に進み、私のオフクロはわざわざ京都まで来ていささか嬉々とさえして彼女を連れて帰った。京都で産まれた京女の彼女は、東京で暮らし始めた。

年に数回東京へ帰る。その度、実家の彼女は「知らない人が来た!」とすごいスピードで逃げ惑っていた。私は君の命の恩人だぞ。もう少し可愛い顔をしたらどうだ、なついたりしたらどうだ、と私は思っていたが、彼女は私には一向になつかなかった。何たる恩知らず、と私はため息を着いたが、彼女はそれでも可愛かった。

死んだそうな。

気の動転したオフクロが電話をかけて来たので何を言っているかよくわからなかったが、かいつまんで聞く限り、おそらく彼女は階段から足を滑らせて転げ落ち、首の骨を折って死んだ。中島らもとほぼ同じ死に方だ。

鏡に映った自らの姿と戦っていたようなバカな猫に相応しい最期だ。

命の恩人の顔も忘れるようなバカな猫に相応しい最期だ。

なつかない猫が、死んだ。

私は思いの外、落ち込んでいる。

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2007年2月 4日 (日)

掃除とトニー滝谷

家に帰って風呂に入りながらビールを飲んでいる。疲れたが気分は悪くない。

家を出る前に大掃除をした。年末にやるような大掃除だ。あいにく年末は意味がわからないほどに忙しかったから、何一つ掃除が出来なかった。ゴミだめのような部屋で1ヶ月以上を過ごした。まあその間に我が家に遊びに来たのは北海道在住の男友達一人だったので、何一つ問題はなかったが。

部屋のゴミを全て捨てて、散らかった衣類を洗濯して、散らかった本も整理整頓して、掃除機をかけた。それだけでかなり満足はしていたのだが、勢いづいて風呂とトイレと洗面台も掃除した。風呂がきれいだ。気分が良い。ビールが美味い。

昨日は映画を借りてきて見た。一つは「天空の城ラピュタ」。何回見るんだ、もうかれこれ20回ぐらい見てるんじゃないだろうか。もう一つは「トニー滝谷」。こっちは初めて見たので、少し感想を書こう。

原作は村上春樹の短編集「レキシントンの幽霊」から。監督は市川準、音楽は坂本龍一。そして主演はイッセー尾形と宮沢りえ。

原作者も監督も音楽担当も私は結構好きだが、何と言っても心を惹かれたのは主演の二人だ。特にイッセー尾形は、私が一番好きかもしれない役者だ。勿論宮沢りえも「北の国から’95〜秘密〜」以来大好きな女優だ。

そして作品の率直な感想。

まず一言で言えば、後味が悪い。見終わった後に「ああ面白かった」と言えるタイプの映画ではない。とにかく切ない感情をひたすらに描こうとした映画な為というのもある。ハッピーエンドでもなければバッドエンドでもない。物語が「開いた」まま終わるオープンエンドでもない。敢えて言えば、物語が閉じたままで終わるクローズエンドだろうか。そして、たまらなく切ない。

これから見る方の為にも、ストーリーには一切触れないでおくが、とにかく見所はイッセー尾形の演技だ。コミカルな役所をやらせれば超一流の彼であるが、シリアスな演技もたまらない。倒錯しそうでしないギリギリ感、静寂の形で表象化する激情。切迫感は、イッセー尾形によって穏やかに演じられた。

私はここ最近の自分の感情と偶然一致する所が多かったので、かなりそういった部分には目を奪われた。

良い悪いの二元論で論じるのはある意味では逃げであるが、敢えてその二元論を採用するならば、「良かった」。村上春樹風に言えば「悪くなかった」。

そしてぼくはビールを飲んだ。

村上春樹のこういう表現が、時々癪にさわる。

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2007年2月 2日 (金)

白くて妖しい

雪だ。

今年の冬は暖冬らしく、京都では全く雪を見なかった。昨年は随分降ったのに。

私は北国の出身ではない。東京の喧騒の中で育った人間なので、私にとって雪は非日常的なものであると同時に、その非日常性ゆえに何か得体の知れぬ高揚感を私にもたらす。

私は先ほど30分ばかり散歩に出た。雪は、確かに降っていた。私の心は小躍りした。

脳内ウォークマンの再生スイッチを入れると、そこからアビーリンカーンの歌う「Afro Blue」が流れ出した。昨日から何回か聴いていたせいだろう。ピアノはウィントンケリー、ドラムはマックスローチ。ケリーのピアノとローチのドラムは相性が悪いと私は個人的に思っているのだが、ここでも今一つ腑に落ちない。しかし、それを補うかのようにスタンリータレンタインとケニードーハムのホーンセクションがリフレインを吹くことで、演奏には奇妙な統一感が生まれている。私は脳内で流れるその演奏に合わせて口笛を吹く。上手く吹けない。私は口笛が苦手なのだ。間違えながら口笛を吹き続けていると、脳内では曲がランディウェストンの「High Fly」に変わっていた。今度はそれに合わせて鼻歌を歌った。きっと私は上機嫌だったに違いない。

家に帰った。相変わらずの汚い部屋がそこにあった。

気分はいくらかマシになっていた。

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2007年2月 1日 (木)

スケジュール。2月。

二月になったというのに、ライブスケジュールを全く更新していませんでした。ちょっと怠慢でしたね。という事で、ギリギリ2月1日に間に合ったスケジュールをアップします。

2007年2月

2月3日(土)木屋町menomosso tel 075-211-8626
http://www.geocities.jp/bar_meno_mosso/
pf:福島剛
2月一発目はピアノソロ。BGMではありませんよ。こってりいきますよ。
21:00~start music charge:カンパ制

2月9日(金)祇園 pick up  tel 075-525-0595
http://www.gion-pickup.com/
第二・四金曜日の深夜はジャムセッションやってます。
00:30~start  music charge:2000円

2月10日(土)深草ざぶざぶ
tel 075-642-6348
http://www7a.biglobe.ne.jp/~zabuzabu/
vo:岩井繭子 b:鶴賀信高 pf:福島剛
素晴らしいドラマー「ケン坊」さんこと村上健三郎さんのお店でのボーカルトリオ。気合入ります。
19:30~start music charge:1500円

2月11日(日)木屋町menomosso tel 075-211-8626
http://www.geocities.jp/bar_meno_mosso/
vo:岩井繭子 pf:福島剛
ボーカルとのデュオでしっとりと・・・最近メキメキ力をつけてきています。まゆちゃんの歌を堪能して下さい。
21:00~start music charge:カンパ制

2月13日(火)北山 mojowest  tel 075-706-8869
http://www.mojo-west.com/
sax:黒田雅之 b:鶴賀信高 ds:古賀俊輝 pf:福島剛
毎月第2火曜は何があろうとmojowestで、このメンバーでやってます。このメンバーでやるのもあと少し。悔いの残らないようにやります。是非、遊びに来て下さい。
20:00~start  music charge:カンパ制

2月17日(土)四条河原町GreenwichHouse
tel 075-212-5041
http://www.greenwich-house.com/
ds:田中久仁彦 b:鶴賀信高 pf:福島剛
ドラムは「クニヒコ」と言います。ベースは「ガーツル」と言います。若さ溢れる激しいピアノトリオです。
20:00~start  music charge:カンパ制

2月18日(日)出町柳MAAM tel 075-771-3190
http://www.kyotozanmai.com/user/maam/maam/
vo:酒本亜矢子 pf:福島剛
ボーカルさけもとさんと初共演です。とても雰囲気の良いお店、出町柳のMAAMで。この日は、なるべく大人になってやろうと思っています(ホンマかいな)
19:30~start  music charge:1700円with1drink

2月24日(土)四条河原町GreenwichHouse
tel 075-212-5041
http://www.greenwich-house.com/
vo:岩井繭子 pf:福島剛
今月はボーカルバックが多いです。歌伴というのがまた愉しいのです。気心知れたデュオで。
20:00~start  music charge:カンパ制

2月24日(土)祇園 pick up  tel 075-525-0595
http://www.gion-pickup.com/
第二・四金曜日の深夜はジャムセッションやってます。
と、いつも書いていますが、この日だけ注意!土曜日の深夜ですよ!
00:30~start  music charge:2000円

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