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2006年10月11日 (水)

魔法の伝承者

ライブが幾つか続いて、少々金が入って来たので、近所のスーパー「ナナ」に食材を買いに行く。

うどん八玉

カット若布

卵10個

そして因縁の青葱2束

しめて600円ちょっと。これで4日はいけるだろう。

前回、青葱なぞもう二度と買わないという宣言をしたが、再び買った。人事でもそうであるが、たった一度のミスで見捨てていては、物事の良い面を見落としてしまう。青葱の気合いの足りなさというマイナス面をカバーする、何かしらのプラス面を発見する為に、私は再び青葱を買ったのだ。

そして私が青葱に再度のチャンスを与えたのにはもう一つの理由がある。むしろこちらが大きいか。

前回の私が青葱の存在を酷評した文章を読んだ知人が、ライブに来てくれた。

休憩中に談笑していたならば、教えて頂いたのは以下の事だ。

・青葱は、買ったらすぐに、その日の内に全てを細かくカットする事。

・すぐに、ビニールパックか何かに移して冷凍保存する事。

・以上の事により、多少味は落ちるが、長期間の保存が可能になり、そして何より使用時の手間が格段に減る。

という事であった。なるほど、納得である。これら、まるで魔法のごとき「青葱保存法」を実践に移すべく、もう一度青葱を買ってみたのだ。

さて、実際にやってみたのだが、これが目覚ましいほどの効果を発揮する。もっぱら私の主食となっている、若布入り月見うどんを作る際のストレスは、驚くほどに軽減された。冷凍された青葱の断片を、煮えたぎるうどんスープの中にパラパラと散らす。熱により青葱は解凍され、月見うどんの白と黄色のコントラストに鮮やかな緑色が加わり、そして葱の香りがほんのりと漂う。うむ、悪くない。私はまるで自分が料理が上達したかのように得意気になる。自然と笑みも漏れる。いや、待てよ。私は実際に上達しているのではないだろうか。一子相伝の秘技である「青葱保存法」を知る者は、世界に20人といないであろう。つまり私は、既に世界トップクラスの料理人の仲間入りを果たしているのかも知れないのだ。これは大変だ。

私はピアニストであるにも関わらず、料理の奥義を会得してしまったが為に、人から料理の教授を請われるかも知れぬのだ。音楽の奥義を会得するよりも先に、料理の奥義を会得してしまった。サッカー修行でイタリアに留学したにも関わらず、パスタ作りを学んで帰って来てしまったがごとき本末転倒ぶりである。

あまりに上出来な月見うどんに舌鼓を打ってばかりもいられない。あまり料理に凝るのはよそう、と私は決意した。私に料理のいろはを学びたい方も、これら上述の理由で御遠慮願いたい。

青葱の一番のプラス面は、その手軽さにある、と私は気が付いたのだ。

しかし、こんな保存法を開発するとは、知人のYさんは天才ではなかろうか。いやはや、恐ろしいものである。

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