若年性アルツハイマー
ここ何年か、物忘れが激しい。
買い物に行く時、買わなくてはならない物が全部で五点あったとすれば、四点買えれば上出来だ。忘れないようにメモを書いても、そのメモを家に忘れてしまう。
傘は、あまりに失くしすぎるので、なるべく持たないようにしている。
お茶を淹れようと思ってお湯を沸かしていた筈なのに、そのお湯を沸騰させている間に、お茶を淹れるという当初の目的を失念し、気が付けばそのお湯で饂飩なぞを茹でる始末。
今、何考えてたんだっけ?
今、何喋ろうとしてたんだっけ?
そんなのは日常茶飯事だ。
あれ、そう言えば俺たちは何をするんだっけ?
ゴドーを待つんじゃないか。
ああ、そうだった。
そんな感じだ。
話によれば、泥酔するほどまでに酒を飲んだ時というのは、酒によって、普段ではありえないほどの数の脳細胞が死ぬらしい。私の日常で、泥酔しない日というのは一年に50日ぐらいなので、残りの315日は、尋常ではないスピードで脳細胞を殺しているわけだ。そんな生活は、もう十年近く続いている。十年でやっと、その影響が出始めたのだろう。自業自得なので仕方がない。
この物忘れによって、一番困るのが、「言葉」である。
漢字がなかなか出てこない。英語も単語が出てこない。
「おおげさ」ってどう書くんだったかな。
パソコンならば良い。「おおげさ」と入力すれば、「大袈裟」とすぐに出てくる。自筆で書く時に困るのだ。こんな簡単な漢字も分からない。
簡単な英文を読んでいても、びっくりするような単語がわからない。
inevitableって何だっけ?辞書を引く。これ、絶対に知ってる単語だぜ、なんて思いながら。
必然の。不可避の。
おい、こんなのも忘れてるのかよ。
少しね、抗いたいです。最近、脳を鍛えるトレーニングとか何とか言うのが流行っているらしいが、その存在は多分、すぐに忘れると思う。
忘れたいことはたくさんあるので、それらを忘れるのは構わないけれど、どうしても忘れたくないこともある。そんなに沢山ではないけれど。
一つずつ、大切に思い出していこうかな。
スヌーピーが好きな人の事とか、ピアノを弾くのが上手だったオッサンの事とか。
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コメント
私も最近非常に記憶力が悪くなり、若年性アルツハイマーに拍車が掛かっているので、その気持ちは良くわかる。
漫画の「あたしンち」で、みかんのお母さんが、カレンダーにメモ書きで「ファッ久」と書き込んでいた、という話があったけど、私も「ファックス」と書こうとして間違えてそう書いたことがあるのを思い出した。ファックスに限らず、「クス」がつく言葉って、ぼ~っとしてると「久」って書き間違えてしまうことってあるのよね。でも、人生そんなんでも、大体で生きていけば何とか生きていけるものなので、最近はボケも肯定的に捉えて開き直って生きることにしています。
投稿: モトクロス | 2006年9月 4日 (月) 17時46分
すいません。
「セッ久」というすごい下らないワードが頭に浮かびました。
僕の脳みそは中学校二年生と同レベルです。
投稿: ふくしまたけし | 2006年9月 8日 (金) 20時44分