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2006年9月24日 (日)

親孝行

久しぶりのブルーズライブ。やっぱり好きでね、ブルーズが。愉しかった反面、その分はしゃいでしまうから、疲れる。ライブが終わったらヘトヘトになる。体中汗びっしょりになって、出来ればもう動きたくない、っていうくらい。

翌日も朝から早いし、さっさと帰ろうと思って原付バイクに跨った時に、ふと奇妙な予感。危惧。今日のライブハウスの近くに私のよく行く喫茶店があり、そこの店主のオバチャンの事が気になった。

実は最近少し電話で喋る事があり、その時に何となく声のトーンに翳りがあったのが気になった。丁度近くまで寄ったし、少し顔を見に行っておこうか、と思い、寄り道をする。

このオバチャン、私の事を息子のように可愛がってくれ、私も彼女を母親同様に慕っている。たまに顔を出さないと怒られる。金がないから寄れないんだったら、奢ってやるから来い、と言う。顔を見せない事の方が駄目だ、と言ってくれるのだ。私が付き合う女にも当然口を出す。春に別れた女の事は、付き合っている時からガミガミ言っていたし、別れてからは「別れて良かった」と得意気に言う。一歩間違えば私も「いちいちうるせえなあ」となりそうなものだが、不思議とそうはならない。やはり、母親のようなものかと苦笑する。

杞憂ならば良いが、と思って店に行った。

「うん、今日はメシ食いに来たんだ。腹減ったよ。何か作ってくれよ。」

「よし、作ったる。酒はいらんのか?」

「いらない。バイクだし。俺、今、酒やめてんだよ。」

なんて会話を交わす。タラコスパゲティを作ってくれる。大盛だ。美味い。

「うめえよ」

「当たり前や」

これは杞憂で済んだかな、と思いながら、スパゲティを平らげると、彼女は徐に私の隣に座って来た。

どうした?

聞けば、やはりここの所調子が悪いのだと言う。愚痴をこぼすような人ではないので、珍しいなと思いながら話を聞く。別段、私が何かをしてあげられる訳でもない。ただ、聞く。

彼女の憂鬱が本当に和らいだのかどうかはわからない。けれど、彼女は私が帰る時には「今日、来てくれてありがとう」と何度も言った。「いいよ、いつも世話になってンだから」なんて言いながら。

今度ゆっくり、愉しいライブに客として行こうぜ、と約束を交わした。私は親孝行な息子である。

元のオバチャンに戻るまでは、やはり私としても心配なのである。

帰り道で空を見上げた。星空が高い。

もう、秋だ。

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