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2006年9月15日 (金)

勝ち続ける事

昨夜、相撲の結果を見ようとスポーツニュースを見ていたら、9月17日(日)、18日(月)と開催される柔道のワールドカップ、世界国別団体戦の特集が組まれており、それを就寝前に少し観た。

17日が女子、18日が男子だそうだ。良かった。17日は私はライブなのだ。観れないのだ。まあ、女子なら見逃してもいいや、と胸をなでおろす。これは何も女性差別発言ではない。柔道に関しては、特に今回のワールドカップに関しては、確実に男子の方が「面白い」のだ。それは、単純な技術力云々の話ではない。もっと漠然とした、「華」とでも言えば良いのだろうか。柔道に関しては、男子柔道のほうが「華」がある(少なくとも今は)。

逆に女子の方が「華」のあるスポーツというのもある。一番顕著な例はバレーボール。女子バレーは観ていてとても「華」を感じる。テニスも同様だ。昨今では、ゴルフにもそういった印象を受ける。宮里藍、横峰さくら、ミッシェル・ウィー、女子ゴルフは今やスター選手にこと欠かない。

女子柔道には、田村亮子(現:谷亮子)出現前には山口香というスター選手がいた。そしてその山口と入れ替わりに出てきたのが前述の谷だ。最近の試合では、全盛期のカミソリのような切れ味こそ見せなくなったものの、円熟の試合運びと勝負勘で安定感はある。やはり、谷亮子という選手は、女子柔道の世界では10年に1人の逸材だったのだ。

しかし、その後を受ける選手が育っていない。谷本、上野姉妹、といったスター選手候補達は、今一つ「スター」になりきれていない。理由は明白だ。「好成績の持続力」がないからだ。

イチロー、松井、朝青龍、タイガー・ウッズ、ミハエル・シューマッハ。「スター」と呼ばれる選手たちは、信じられないような好成績を持続させる。そしてその事によって圧倒的な信頼感を得る。一度王座に着くだけでは駄目なのだ。継続して、王者で「あり続ける」事が求められる。厳しいようだが、「スター」とはそういうものであるし、実際に、谷亮子は王者であり続けた。今、女子柔道の選手達には、そのスターが不在である。結局は人気は谷亮子頼み、みたいな所も見えなくもない。そんな風潮を払拭するような選手が早く出てくれば良いのだが。

さて、男子柔道、こちらには圧倒的なスター選手が存在する。最軽量級、60kg級の代表選手、野村忠宏である。今回の日本選手団の主将を務めている。彼の「勝ち続けた」記録は素晴らしい。アテネ、シドニー、アトランタと、三つのオリンピックで連続で金メダルを獲得している。勿論、オリンピックというのは4年に一度であるから、その期間にずっと勝ち続けていたわけではないのだが(実は彼は一度、正式にではないが現役を退いている)、しかし、3大会連続の金メダルというのは、そうそう出来る事ではない。そして、柔道が最も注目されるオリンピックという舞台で勝ち続ける事によって「野村は勝つんだ」というイメージを我々ファンに植え付けることに成功している。長嶋茂雄が、チャンス(つまり最も注目される場面)によく打った事から、実際の記録以上に彼は信頼を勝ち得た。それと同じ事なのだ。並大抵の事ではないだけに、その信頼は絶大だ。

その野村が、昨日はインタビューを受けていた。とても印象に残った言葉があったので、紹介しておく。

「今でも自分が一番強いと思っている」

私はこの言葉を発した野村の表情をブラウン管越しに眺めていたが、そこには絶対的な王者の自信が垣間見えた。どこぞのボクサーのはったりや虚勢とは全く異質な、真の「王者の風格」がそこには漂っていた。きっと、やってくれる。

問題は、重量級の主力選手の最近の不甲斐なさだ。

井上康生、鈴木桂司、今はお前達の時代ではなかったのか。勝ち続けなければいけない。反撃の時だ。早く戦列に戻って来い。

特に、上の二人には、柔道ファンとして並々ならぬ期待を持っているだけに、厳しいことも言いたくなる。

あまり柔道をご存じない方のために、今回のワールドカップ、私のオススメ選手を以下に紹介します。観戦の手助けになれば。

60kg級 野村忠宏 (強い)

66kg級 内柴正人 (巧い)

90kg級 泉浩 (ガッツ)

100kg級 石井慧 (若い)

100kg超級 棟田康幸 (意外と小さい)

さあ、頑張ってもらいましょう。期待します。

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