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2006年7月17日 (月)

4番ファースト文学

様々な誤解を恐れずに言うが、「私はプロのミュージシャンである」。

「プロなんですか?」と問われてずっと躊躇をしていたが、最近は図々しくも開き直った。言ってしまえばそれでおしまいなのだ。虚空に放った言葉を再び呑み込む事は出来ない。勢いでもう一言だけ言おう。「私はプロフェッショナルのピアニストである」。もう知らない。エクスキューズの意図的な放棄だ。

自分がこうしてミュージシャンになった事に、私はたまに奇妙な違和感を抱く。そもそも音楽は私にとって、ずっと「二番セカンド音楽」というような位置付けであったからだ。生活の中で極めて重要なポジションを占めるものの、決して花形ではなかった。地味な職人気質、というのが私にとっての音楽の位置付けであった。

参考までに、私の若い頃の脳内ナインを以下に記そう。思い付きだ。

1番レフト女性

2番セカンド音楽

3番センター酒(類似品含む)

4番ファースト文学

5番サードインド

6番ショート柔道

7番ライト博打

8番キャッチャー怠惰な生活

9番ピッチャー睡眠

以上、といった所か。こうして見ると、今もこのナインの顔ぶれに大きな変動はない。代打の切り札で「食事」という選手が成長してきているものの、若手が伸びて来ないので(私が色々な事に興味を持つ方ではないので)、いつも固定メンバーで試合に臨んでいる訳だ。

そう、私の脳内ナインの中心選手、15年前の中日ドラゴンズの落合博満的な存在は、ずっと「文学」であったのだ(或いは今も、かも知れぬ)。御存知の方は御存知かも知れないが、私は恥ずかしながらずっと職業的物書き乃至小説家になりたかった。結構本気であったのだが、気付けば私はピアニストになっていた。人生はわからない。故に、毎日ピアノを弾いていて、楽しくはあるが、時折奇妙な感覚に襲われるのだ。不満とは全然違う。

最早作家になりたいとは思わないが、最近は文章を書く事への向上心が、大分自分の内側で目覚め始めている。誰かの文体の劣化コピーではない、自らの独自の文体を手に入れる事は出来やしまいか。そんな事をよく考える。文章が、うまく、なりたい。

今年の夏は、可能ならば山に行きたい。キャンプなぞをしたいな、とふと思ったが、これは十中八九しない事も私は知っている。中途半端に文章を纏めるのも、やはり技術不足のなせる業である。

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