からん
私のウリは「暇であること」なのだが、その私がこの二、三日ちょっと忙しかった。まあ、中には遊びに行ったりで忙しかったのもあるのだが。そういうのは忙しいとは言わないか。つまり、何の取り柄もない人になっていたのだ。私から「暇」を取り上げたら、何も残らない。残るのは、鼻につく自尊心の痕跡と、虚栄心に満ちたプライドぐらいか。いやいや、自虐遊びはやめよう。惨めになる。とにかく、ブログを書く時間がなかったので、何日か空いての更新だ。
昨夜は第4金曜日だったので、祇園ピックアップでの演奏を終えて午前4時半、只今帰宅。北区に帰宅。そしてキーボードを叩く。ああ、下らない。ピックアップでの演奏は楽しかったし、私の機嫌も良いのだが、何せ疲れた。帰りにコンビニで発泡酒「円熟」のロング缶を一本購入したので、それを飲みながらこうしてブログを更新しているが、疲れているので下らない駄洒落も出るわけだ。
このまま終わったら、読み物としてはあまりにつまらないので、今日は「私の好きな音」について少しだけ。ピアノの音、とかそういうのではなくて、もっと日常生活にありふれた「音」について。
最近気付いたのだが、私の好きな音はウィスキーなんかが入ったロックグラスの中で、氷が溶けて「からん」という音、あれが好きだ。何とも耳に心地よい。何かこう、氷と一緒に時間が磨り減っていくような、それと同時に自分も磨り減っていくような、そんな気持ちにさせられるから好きだ。時間が無駄に過ぎていく。そうだ、人生は限りあるのだから、限りある時間を可能な限り無駄に使いたい。無駄な時間。何も生まない、何も作らない。最高だ。氷の溶けるその音は、無駄な時間を象徴するような音に私の耳には聞こえるのだ。氷が溶けるのと同時に私の未来も少し溶ける。後悔と言う名の水が嵩を増す。その瞬間に、私の心は最も安堵する。そして苦笑い。基本的な性格がとても暗いのだと思う。
この音が好きだと気付いたのは、またしてもウィスキーのCMだ。今回はニッカのオールモルト、そう、石田ゆり子の「女房酔わせてどうするつもり?」だ。あのCMを家で一人で見てると、65%ぐらいの高確率で「いやいや、どうするもこうするもねえだろ」とTVに向かって独り言を呟いてしまう。もちろんにやけながら、だ。ああああ、気持ち悪い。そのニッカのCMで、絶妙のタイミングでロックグラスの「からん」が入るのだ。映像だけでなく、聴覚にも心地よい。そうだ、目の前の石田ゆり子は可愛らしくて綺麗で、そして私は無様で無意味だ。そう考えると余計に心地よくその音が響く。からん。からん。からん。
今日はもう一つ、ジャズの実用性と必然性という事についても考えをめぐらせていた時間があったのだが、別に今はそれについて書きたくないので書かない。今からサントリーニューオールドやニッカオールモルトに匹敵するようなCMのアイディアを妄想しながら寝る。考えがまとまったら広告代理店に500万円でそのアイディアを売り渡す事もついでに妄想する。
今日の最後に。今は無性に誰かに嘘をつきたい。
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コメント
なんでもないような、損も得もしないような嘘をよく言います。
緊張をやわらげたり世界をちょっと色濃くするような。
グリースみたいな、次につながる何かがちょっとだけスムーズになるようなあれです。
投稿: MCミカ | 2006年6月11日 (日) 12時15分
MCミカさんへ
ああ、アレですな。ぼくもアレはかなり好きです。アレを言うと周りがアレでアレですからね。ホント、いつも思いますがアレですなー。
何の事やらわかりませんね。嘘は良いと思います。人を傷つけない嘘は。小学生の「ウチ、テレビ8台もあるんだぜ」的な嘘は。好きですね。「じゃ、今度遊びに行くし見せてよ」というツッコミと共に。自分が同情してもらうために、他人を傷つける嘘を吐きまくるヤツというのがごく稀にいますが、もう何だか見ていて可哀想を通り越して哀れです。良い嘘を吐きましょう。
投稿: 福島剛 | 2006年6月11日 (日) 16時42分