何もない春
家で一人で酒を飲んでしまった。しかも深酒だ。起きた時の時間の経過にうんざりとさせられた。
雨が降っていた。何はなくとも外に出よう、そう思ってふらふらと外を散歩してから近所のネットカフェにやってきてこうしてパソコンを触っている。死んだらいいのに。
先ほどまで店内でナットキングコールの「スターダスト」が流れていた。柔らかい声だ。けれどそれは不必要に甘い訳ではない。ほっとさせられる、そんな声だ。久しぶりに聴いた。素晴らしい。私は全く素晴らしくないのに。
昨夜酔っ払いながら、何故か私は吉田拓郎のCDを聴いていた。たまに聴きたくなるから家に置いてある。いつでも聴けるように。吉田拓郎の歌には私がとても好きな歌がいくつもあるのだが、その中で今日は「襟裳岬」という歌を紹介したい。書くべき事もさして無いのだから。
歌詞を書いているのは岡本おさみという作詞家だ。私は彼の書く詞が好きだ。どこか屈折していて、けれど諦観は抱けない人間の矮小さを描き出す事の多い彼の世界には、一時期とても夢中にさせられた。
「襟裳岬」の中にこんな一節がある。私の一番好きな部分だ。
「日々の暮らしは嫌でもやってくるけど
静かに笑ってしまおう
いじける事だけが生きる事だと
飼い慣らしすぎたので
身構えながら話すなんて
ああ、臆病なんだよね」
やり切れない切なさが今にも伝わってくる、素晴らしい歌詞だ。生活とは罪深いものなのか。私はそんなことを自問する。罪深くもある。それは決して間違いではない。そして間違いでもある。正しい事と間違った事は正反対の事ではないのだ。同じ事なのだ。そう考えると少しだけ復活する。
ちょっと長文を書くテンションではないのでこの辺で。外はまだ雨が降っている。今日は傘を持っているけれど、今から傘をささずに家に帰りたい。雨が私の頭上に降り注いで、惨めに濡れていく自分を想像するとわくわくする。でも家に帰ったら、濡れていない服に着替えるんだぜ。寒かったらストーブにあたるんだぜ。そんなもんか?そんなもんだ。
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コメント
業務連絡、業務連絡!
福島君、すぐにMOJOWESTさんとE'sStyleさんに連絡を取りなさい。
投稿: 黒田 | 2006年4月 4日 (火) 22時47分
了解しました。
投稿: 福島剛 | 2006年4月 5日 (水) 17時57分