与世山澄子
日曜日。よほどの用事がない限り、私はTBSの「情熱大陸」を見る。有名無名を問わず、良質なドキュメントタッチで毎週興味深い人物にスポットを当てていく番組だ。ご存知の方も多いだろうし、私同様この番組を毎週楽しみにしている人も少なくない筈だ。
本日の「情熱大陸」が取り上げたのは与世山澄子さん、沖縄で半世紀以上にわたってジャズを歌い続けて来たジャズ・シンガーだ。私は放送開始の11時15分に間に合うように、11時にはコーヒーを淹れ、テレビの前でその時を待った。毎回「情熱大陸」の放送を楽しみにしてはいるが、今日はとりわけ楽しみだったのだ。と、いう事で今日の「情熱大陸」について少し。
沖縄というその土地を、私は嘗て一度も訪れた事がない。とても行ってみたい土地の一つであるが、今の所訪れる予定もない。それにしても、極めて特異な地である、と私は思う。もちろんあらゆる土地の一つ一つに特徴はあり、それを「特異である」と言う事は可能なのだが、そういった部分とは全く異なった見地から、沖縄という土地は「特異である」と私は思うのだ。私がそう感じる理由には、琉球王国という歴史があり、米軍基地の存在というものがある。これら二つの理由が辿り着く共通のキーワードは「異国」という言葉である。
様々な語弊を恐れずに言えば、沖縄は「異国」である、と私は思う。理由については敢えて触れずにおく。そこには明確な意見を求められた時に答えられるかどうか自信がない、という私自身の逡巡もあるが、何より話がずれていく事を避けたいのだ。そしてもう一つ、これも思い切った仮定を一つ挙げてみたい。ジャズは、ある意味では「異国の音楽」である。
さて、ここまでのまとめだ。私は二つの仮定をしてみた。一つは沖縄は異国であるという事、もう一つはジャズは異国の音楽であるという事だ。これらを総合して考えると、沖縄でジャズを歌う与世山澄子さんのドキュメンタリーを見るという行為には、同時に二つの「異国性」を抱えるという、ある矛盾を自らの中に受け入れる行為とも考えられる。しかし、その矛盾こそが興味深い。アメリカで黒人がジャズをやる、それだけならば確かに話は単純だ。しかし、仮にそうであったならば、ジャズはここまで魅力的な音楽になっていなかったのではないか、と私は考えるのだ。ジャズの根底にはブルースがあるのは確固たる事実だ。そこには虐げられた黒人の悲しみがあり、それを更に突き抜ける無上の明るさがある。だが、それを超越した悲喜交々をも包括するジャズという音楽の奥深さ、そんなものもあるんじゃないだろうか、それを私は本日の「情熱大陸」に垣間見た。
私の中で話がだいぶキナ臭くなってきた所でこの話は一度中断したい。続きは次回。友達と一杯だけ飲みに行こうという事になった。明日、また必ず。
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コメント
5月31日(水)に福岡・太宰府で与世山澄子さんのライブが行われます。
昨年開館した「九州国立博物館」のミュージアムホールで。
与世山澄子さんの歌声が生で聞けるなんて感激です!
今から楽しみにしています。皆さんも聞きに来ませんか~?
[開催日時] 2006年5月31日(水)19:00開演
[入場料] 3,900円
詳細は・・・http://www.fukuoka-support.net/e-yoseyama.htm
※6/1~3にも、福岡市、太宰府市、久留米市でライブが行われます。
投稿: 徳りん | 2006年4月12日 (水) 11時30分