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2006年2月12日 (日)

What a wonderful world

緑の木々を見ている

赤い薔薇を見ている

それはまるでぼくと君たちのために

青く輝いているみたいだ

ぼくは心の中で思う

この素晴らしき世界、って

空は青く澄みわたり

雲は白く輝く

輝かしき祝福の日よ

暗く神聖な夜よ

ぼくは心の中で思う

この素晴らしき世界、って

虹の光は空の彼方で輝き

行き交う人々の顔の中でより一層輝きを増す

友が手に手を取るのが見える

そっちはどうだい、なんて言いながら

心の底から言っている

「愛してるよ」って

赤子の泣き声が聞こえる

君たちもまた育っていくんだね

ぼくたちが知っている世界だけじゃ

君たちには狭すぎるかもしれない

ぼくは心の中で思う

この素晴らしき世界、って

うん、ぼくは心の中で思うんだ

なんて素晴らしい世界なんだろう、って


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自分でブログを始めてからというもの、他人のブログなんかもたまに見るようになった。面白いのもあれば下らないのもある。そして面白いのだけれど見ていて「アイタタタタ…」って苦笑を禁じえない「イタい」ブログというのもある。色んな人が書いているもんだ。

そんな中で私が特に「イタいなあ」と感じるのは、詩を掲載しているブログだ。誤解を招かないように先に言っておくが、決して馬鹿にしている訳ではない。半分は同類相憐れむみたいな感じ、そして半分は俺にはここまで思い切れねえな、という憧憬の念みたいなものだ。そして私もそのイタい人達の仲間入りを果たそう、と詩を掲載した次第だ。

とは言え、ピンと来た人も多いかも知れないが、これは他人の詩だ。他人の褌で相撲を取るのは少々困ったものだが、元々が英詩なので、私なりに翻訳した。翻訳という作業が私はとても好きなのだ。ジャズのスタンダードを演奏するのにも少し似ている。ある一定のフォーマットを、崩すか崩さないかぎりぎりの所で遊んで、結果壊れなかったら、めでたしめでたし、みたいな感じ。これも、知っている人は原文と見比べてくれれば良いが、私なりに「遊びながら訳した箇所」というのが幾つかある。逐語訳したところも当然あるが。

原典はもちろん‘サッチモ’ことLouis Armstrongの歌っていた「What a wonderful world」。私の一番好きなスタンダード・ナンバーかも知れない。歌詞が上記の通りなので、深刻さがなくて嫌い、という人もいるかも知れないが、そんな人に反論。深刻ぶって眉間に皺寄せている人より、バカみたいに朗らかに笑っている人の方が悲しい、そんな場合だって私はあると思う。サッチモが白人聴衆に歯を見せて笑ってたからダメだって?きっと演奏が楽しくて仕方が無かったんだ。楽しけりゃ笑えばいいじゃないか。その代わりサッチモは悲しい時だってこうやって笑うんだぜ。何て素晴らしい世界なんだろう、って。男だね、ルイ。

昔、師匠から言われた事。「何でブルースがアホみたいな音楽だかわかるか?あいつら(黒人たちの事ね)、アホみたいな音楽やって全部冗談にしてしまわな、やり切れなかったんちゃうかな。アホみたいなんが一番よろしいですやん。」

だって。

師匠と知り合って一年も経ってなかった頃だったと思う。理由はないけど、その時私の目の前にいたオッサン(勿論市川修氏だ)はタダモノではない、そう強く思った。何かの折に「師匠、やっぱタダモノじゃないですね」って私が言ったら「はいっ、ケダモノです!いやいや、ちゃうか。バカモノです!」とか何とか言っておどけていた。

深刻なふりをするのは簡単だ。自分が悲劇の主人公にでもなったような気持ちになって、目を閉じたり遠くを見つめたりしていればいいのだ。誰にだって出来る。ただ、そういうのを全部胸の中にぐっとこらえて、満面の笑みでにっこり。これが難しいんだよな。私もそういう事のきちんと出来る大人になりたいと、心のどこかではやっぱりそう思っている。でもね、やっぱり難しいですね。また溜め息が漏れます…さ、お酒飲も。

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