« 簡単に | トップページ | 二日分 »

2006年1月26日 (木)

イッセー尾形を待ちながら

寝る前に、大好きな「ゴドーを待ちながら」をペラペラとめくっていた。サミュエル・ベケットの作品だ。何度読み返しても、相も変わらずというか何というか、非常にナンセンスで不条理な作品だ。

よく知らない人の為に、この「ゴドーを待ちながら」を極めて簡単にだが説明しておく。大雑把なジャンル分けをすると、演劇の脚本だ。そして、「劇」であるにも関わらず、舞台上では「劇的な事」は何一つ起こらない、というのがこの作品の特異な点だ。

故にストーリーはシンプルそのもの。ヴラジーミル(ディディ)とエストラゴン(ゴゴ)という二人の男が、木の下で「ゴドー(Godot)」という何者かを待っている。待っている間に交わされる会話は、滑稽で無意味な物ばかり。二日待ってもゴドーはやって来ないし、二人もまたゴドーを待ち続ける。ゴドーは依然として何者かもまるでわからない。 という所で幕は降りる。何も起こらず、誰も来ない、というのがこの作品の極めて簡単なあらすじだ。「何じゃそりゃ?そんなもん面白いのか?」と思った人、多分正常です。でもこれが面白いんですよ、たまらなく。

色々話し出すと長くなるし、私もしんどくなるのでやめておく。言語の可能性と信頼性?現実の反復性?いやいや、またの機会に。

そんな「ゴドーを待ちながら」の、ぐっと私の感性にはまる様な上演を観た事がないなあ、とふと思った。その大きな要因は、これまでに観た際の役者やスタッフが悪かったのだろうと思う。コミカルさが足りずに冷笑的になり過ぎてしまっていたり、或いは閉塞的な状況が切実に感じられなかったり。とても残念だ。脚本自体は出鱈目なぐらいにスウィングしているのだから。もちろん、演じる側の人間からしてみたら随分と厄介な作品なのかも知れないが。

そこで、深夜に一人で妄想する。どんな役者が出ていたら、この「ゴドーを待ちながら」は面白くなるだろうか、と。私が「そいつは是非観たい」となるだろうか、と。ちなみに私は海外の役者の事はほとんど知らないので、日本人の役者に話は限定する。また、私は演劇マニアでもなければ専門家でもないので、名前を挙げる役者はかなり知名度の高い人達になるが、所詮深夜の慰み程度の妄想なので、そこはご勘弁頂きたい。

まず、途中で出て来る犬のラッキーには竹中直人がいいな。これは間違いなくはまると思う。長広舌を「笑いながら怒る人」みたいな感じでやったら面白いんじゃないだろうか。 ラッキーの飼い主、ポッツォには、最初近藤正臣の名前がふと浮かんだが、ここでは鹿賀丈史なんてどうだろう。威厳の崩壊、彼ならどう演じるか。 やはり途中で少しだけ出て来る男の子、これが配役に迷う所だ。一瞬脳裏に藤原竜也の名前がよぎったが、何だかしっくりこない。かといって、他に誰がいる?うーん……となってしまう。非生産的な妄想で煩悶するのもなかなかに馬鹿げているので、ここは藤原竜也(仮)としておこう。 さて主役の二人だが、これは意外なほどにあっさり決まった。ヴラジーミルに柄本明、エストラゴンにイッセー尾形、これで間違いない。どちらも私の贔屓の役者なので、当然点の付け方は甘くなるが、きっと絶妙なやりとりを見せてくれるに違いない。

ではまとめてみよう。もし私が「ゴドーを待ちながら」の配役を任されたら、以下のようにする。

ヴラジーミル――柄本明

エストラゴン――イッセー尾形

ポッツォ――鹿賀丈史

ラッキー――竹中直人

男の子――藤原竜也(仮)

我ながら素晴らしい配役だ。出来上がって惚れ惚れとする。もしこの面子で「ゴドーを待ちながら」をやっていたら、15000円までならポンと出して見たい。20000円ならば、かなり迷うんだろうが結局出しそうだ。30000円以上であったら……何か犯罪を犯してしまいそうな気がするし、考えるのをよそう。

という事で、眠れぬ夜はこうして一人で下らない妄想に耽ると楽しいのです。頭の中が空っぽになって、少しずつ眠くなってきます。

眠い。また次回。

|

« 簡単に | トップページ | 二日分 »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

うん、それなら1万円は固いな。できれば近くで見たい。

おいらとしては、エストラゴン=志村けん、というのも見てみたいね。

さらにキッチュなゴドーを街ながらを唐突に思いついたので書かせてください。

ヴラジーミル――板尾創路 エストラゴン――さまあず大竹 ポッツォ――松本人志 ラッキー――浜田雅功 男の子――藤原竜也(仮)

板尾を活かせる場所は演劇じゃないだろうか、と日々考えている俺の腐った脳がつむぎだした妄想だ。許せ。

それにしても、男の子の配役は難しい。

投稿: torii | 2006年1月26日 (木) 11時45分

toriiさんへ

なるほど、これなら板尾を中心に考えると、藤原竜也以外は腑に落ちますね。
僕はイッセー尾形と柄本明を中心に考えたもので、ああいう形になりました。後乗せで今ふと思ったのですが、男の子には柳楽優弥くんでも良いかもしれない。まあ、大差ないか…

投稿: 福島剛 | 2006年1月29日 (日) 17時52分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: イッセー尾形を待ちながら:

« 簡単に | トップページ | 二日分 »