2018年2月21日 (水)

『65駅の恋』第三話

※これは実話50%、妄想50%の小説です。

第一話はコチラ
第二話はコチラ


《第三話》
金町~亀有~北千住~南千住~三河島

南流山駅の「カイ・シデン」スタンプを捺したところで、千葉~茨城エリアのスタンプは全て回収済みということになった。もう夜も更けてきていたし今日はこの辺で良いだろうと思って、その日はそこから家に帰ることを決意した。

「期子さん、今日はもうぼくは家に帰ることにするよ」

そう言って期子がいたはずの場所を振り返ると、そこには誰もいなかった。ただ、漆黒の闇があった。更に辺りを見回してみたが、やはりそこには誰もいなかった。期子は、知らぬ間に忽然とどこかへと消えてしまった。

ぼくは何かの幻を見ていたのだろうか。そもそも本当に期子という女は存在していたのだろうか、と狐につままれたような気持ちになった。
しかし、「一人で、取手か」と呟いたぼくに「二人で、取手よ」とささやいた彼女の声は、ぼくの耳には確かな記憶として残っていた。

「タケシくんがこのガンダムスタンプラリーをしている時だけ、私はタケシくんのそばにいる。私は、どこかからやってきて、どこかへ消えていくの」

ぼくは期子のその言葉を思い出していた。

おそらくまたぼくがスタンプラリーに出かけた時に、彼女はやって来る。ぼくの知らない「どこか」から。


《金町~亀有》

ぼくがその次にスタンプラリーに出かけたのは、その数日後だった。
その日はぼくは昼には亀有で、夜に池袋で仕事があった。レストランでお客さんが参加型のジャズのジャムセッションが行われており、その伴奏役の仕事だった。夜には池袋の洋風居酒屋でピアノを弾く仕事があった。言い忘れたが、ぼくの仕事はピアノを弾いたり人に教えたりする仕事だ。

亀有の仕事が終わるのが夕方の16時ぐらいの予定で、池袋の仕事が始まるのが19時からだった。その空いている三時間の間に、千住方面から日暮里方面、あわよくばそのまま北上して赤羽方面までをやっつけてしまおう、という算段だった。

昼前に、自宅のある小岩を出てバスで金町に向かった。金町で一つスタンプを捺した。金町は「ギャン」というモビルスーツだった。もちろんぼくは「ギャン」を知らないので、「ギャン、誰だよ」と思いながらスタンプを捺した。

金町から常磐線に乗って亀有に移動、ということになるのだが、この時にぼくは東京都23区のJRの駅ならばどこでも乗り降り自由な「都区内フリーきっぷ」を買った。750円である。このガンダムスタンプラリーはスタンプ台が必ず改札の外にあるので、スタンプを捺す為には一度改札を出なくてはならない。正規料金だとかなりの金額になってしまうので、複数のスタンプスポットを廻るにはこの「都区内フリーきっぷ」が圧倒的にお得なのである。このスタンプラリーの必須アイテムの一つである。

亀有で仕事を終えてから駅に向かったのは16時ぐらいだった。亀有駅のスタンプ台を探すとそれはすぐに見つかった。亀有駅のスタンプは「シャア専用ズゴック」だった。
ぼくはここで一つの違和感に気付いた。スタンプのインクが、赤いのだ。これまでにインクは黒か青かしかなかった。初めて、赤いインクのスタンプに出会った。

「それは、シャア専用だからよ」

ぼくにそう教えてくれたのは、期子だった。期子は、やはり「どこか」からやってきた。

「期子さん」

ぼくは彼女がやって来ることを何となく予想はしていた。いや、望んでいたと言った方が良いのかも知れない。しかしその一方で、もう彼女とは二度と会うことはないのではないかとも思っていた。

「普通のズゴックとは、違うんだね」ぼくは期子にそう聞いた。

「ええ。速度が段違いよ」そう言って彼女はぼくに微笑んだ。


《北千住~南千住~三河島》

亀有を出て、次の駅は北千住、そしてその次は南千住だった。ぼくはよく、広いようで広くないという意味で「北は北千住から、南は南千住まで」というギャグを使う。「ぼくも日本各地さんざん足を運びましてね。まあ、北は北千住から、南は南千住まで」といった感じで。
言えば必ず失笑をもらえる。コンスタントなややウケである。それで良いのだ。いきなりホームランを狙ってはいけない。小さなヒットをぼくは確実に積み重ねたいのだ。

「ねえ、期子さん、このスタンプラリーも、かなり広い所に跨がっているね」北千住に向かう常磐線の中で、ぼくは期子に話しかけてみた。

「そうね、まだ始まったばかりよ。先は長いわ」

「本当に広いよね。北は北千住から、南は南千住まで」ぼくは満を持して言ってみた。

期子は、ぼくの方を一瞥してから、車窓に目を向けた。

つまりぼくのギャグは無視された。ウケると思ったのに。ウケたかウケないかで言えば、鬼のようにスベった。こういうこともあるのだ。

電車が北千住に着いた。北千住駅は複数の路線が交錯するターミナル駅で、駅自体もとても広かった。

この北千住駅のスタンプも、赤かった。

そう、シャア専用機だったのだ。シャア専用ゲルググだ。

「期子さん!またスタンプが赤いよ!シャア専用だよ!」ぼくは若干興奮気味にそう話した。

「そうね、シャア専用ズゴックから、シャア専用ゲルググへと流れるこのライン、美しいわ。亀有・北千住、やるわね」

期子も嬉しそうにそのスタンプを捺していた。

ふと彼女のスタンプ帳を見ると、一緒に捺していないはずの金町駅の「ギャン」にもスタンプが捺してあった。

「あれ?期子さんも金町行ったの?ぼくは今日の昼に捺したんだけど」

「ええ。タケシくん、あなたと一緒にラリーをしているのだから。あなたのスタンプ帳にスタンプが一つ増えれば、私のスタンプ帳にもスタンプが一つ増えるの。そういうものなのよ」

不思議な話ではあるが、ぼくはもうあまり疑わない。世の中にはぼくの理解を超える事などざらにあるのだ。

南千住から三河島は忙しかった。この後、何度も経験することになる
「電車を降りる→スタンプを捺す→次にやってくる電車に乗り込んで次の駅を目指す」
という動きをぼくはここで学ぶことになった。千葉~茨城方面では電車の間隔がそれなりに開いていたのだが、都内に入ると間隔がタイトになる。効率良く複数の駅を回る為には、この乗り換えにいちいち成功しなくてはならなかった。

南千住のスタンプは、「コンスコン」だった。完全に知らない人であったので、「コンスコン、誰だよ」と思いながらスタンプを捺した。ジオン公国の人らしい。

スタンプを捺してから小走りに駅のホームに戻り、次の電車に乗って三河島へ。

三河島のスタンプは「カマリア・レイ」だった。
レイ、という名前を聞いてピンときた。ガンダムの主人公は「アムロ・レイ」である。恐らく主人公アムロの家族だろうとぼくは予想したが、予想は当たりだった。「カマリア・レイ」はアムロの母親だった。しかし、ぼくはあまりにもアムロのことも知らない。女王様にぶたれている人(第一話参照)という間違った認識しかない。となれば当然、その母親なぞ知る由もない。いつものように「カマリア・レイ、誰だよ」と思いながらスタンプを捺した。


《上野へ》

三河島を出てからは、日暮里を飛ばして上野へ向かうつもりだった。そのまま山の手線に乗り換えて北上するつもりだったので、その時に日暮里は潰せば良い。そんな風に思っていた。

ぼくの心は少々浮き足立っていた。

上野駅のスタンプは、「ガンダム」なのだ。言わずと知れた、このアニメの主役モビルスーツである。いかにガンダムに関しての知識が薄いこのぼくと言えども、流石に主役を前にすると身が引き締まる。

「期子さん、ついに上野だね。ガンダムを捺せるね」ぼくは嬉しくなってそう言った。

「ええ、タケシくん、ここから全てが始まるのよ」期子の顔もどことなく嬉しそうだった。

そして、期子はぼくに向かってこう言った。

「こういう時、何て言うか知ってる?」

ぼくは何と言えば良いかはわかっていたけれど、どことなく気恥ずかしくて黙ってしまった。

「大丈夫よ、私しか聞いてないから」

そう言われて、気が楽になってぼくは口を開いた。

「タケシ、行きまーす」

期子がぼくに向けて右手の拳を作り、親指を立ててみせてくれた。

(続く)

| | コメント (0)
|

2018年2月19日 (月)

『65駅の恋』第二話

『65駅の恋』第二話

※これは実話50%妄想50%の小説です。


第一話はコチラ


《第二話》
松戸~新松戸~柏~我孫子~取手~南流山

《松戸》

「タケシくん、それがゾックよ」

そう声をかけてきた女性に対してぼくはある種の不吉さのようなものを感じて、比喩的な意味ではなく、実際に一歩、後ずさりをした。

「あなたは、誰ですか」

ぼくがそう尋ねると、女性は何を問われているのかわからない、といった風情できょとんとして言葉を失っていた。ぼくは言葉を繋げた。

「なぜ、ぼくの名前を知っているんですか。あなたは、誰ですか」

少しの間、沈黙があった後に女性が口を開いた。

「ごめんなさい。ちょっと驚かせてしまったかしら。私は、更年期子(こうねん・きこ)。お察しのように中年よ」

そう言って微笑む彼女の目尻に、少しの皺が刻まれた。それをぼくは素直に美しいと思った。ぼくはBBAが好きだ。

期子は、言葉を続けた。

「タケシくん、私がなぜあなたのことを知っているのか、それは今は言うことは出来ない。ただ、私はあなたのことを、ほとんど知っている。それは間違いないの」

そんな馬鹿なことがあるか、と思った。ぼくは彼女のことを全く知らない。多分、初対面だと思う。もしも以前に会ったことがあったとしても軽く挨拶をしたことがあるぐらいに違いない。なぜ彼女はぼくのことを知っているのだろうか。なぜぼくは彼女のことを知らないのだろうか。彼女は危ないクスリでもキメているのだろうか。

「それはいずれわかるわ」

彼女はそう言うと、改札に向かってゆったりと二、三歩、足を進めた。

進めたところでぼくに向かって振り返ってこう言った。

「タケシくんがこのガンダムスタンプラリーをしている時だけ、私はタケシくんのそばにいる。私は、どこかからやってきて、どこかへ消えていくの」

ぼくは、少し背の低いこの目の前の美しい中年女性は、完全にシャブなんかをがっつりとキメているせいでワケがわからないことを言っているんだな、と思うことにした。あまりの不条理さに、目の前の世界が少しぐにゃっと歪んで見えた。

「次は新松戸よ。行きましょう」

彼女はぼくを再び改札の中へと導いた。

《新松戸》

新松戸に到着したのは、ちょうど20時を回った所だった。ぼくはこの後の時間配分を概算していた。このままのペースでいくと取手には21時過ぎ、最後に南流山に寄りたいから、家に帰り着くのは23時過ぎぐらいかな、とかそんなことを。

考えながら新松戸駅の改札をくぐりスタンプ台を探すのだが、どこを探しても見つからない。あれ、おかしいな、と思いながら辺りをぐるぐると見渡していると、期子がみどりの窓口の前で私を手招いていた。彼女の表情には、少し絶望の色が見て取れた。

「タケシくん、スタンプ台、あそこにあったわ」

彼女が指差したのは、みどりの窓口の中だった。そして、彼女の絶望の表情の意味をぼくはすぐに理解した。

みどりの窓口は、20時ちょうどで営業を終了していた。入り口には既に鍵がかけられており、もう中に入ることは出来なかった。つまり、そこに入れないということは、スタンプが捺せないということと同義だ。
まだ中には駅員がいる。片付けをしている。スタンプを捺したいぼくの物欲しそうな目と彼の目とが交錯するが、「悪いね、今日はもう終了なんだ」といった具合に視線を反らされ、それっきりだ。

「なんてこと。迂闊だったわ」

期子ががっくりとうなだれていた。彼女もこのことは想定外だったようだ。
新松戸だけまた別の日に来なくてはならないのかな、めんどくさいな、そんなことを考えている瞬間に、背後に人の気配を感じた。

ぼくの後ろには、少々ハゲ散らかしたおっさんがいた。おっさんの手にもスタンプ帳があった。おっさんもスタンプを捺しに来たのだ。そしてぼくと同じようにみどりの窓口が既に閉店している事に困惑をしていた。

少々、というか、割りとハゲ散らかしたおっさんと目が合った。現実的には、おっさんとぼくは口を開いて会話はしていない。しかし目を合わせたその瞬間、工藤静香以上に目と目で通じ合った。おっさんはぼくに目で語った。かすかに色っぽくはなかった。

「参ったな、これでは。しかし絶望するのは、ほんの少し足掻いてからでも遅くはないんだぜ。まあ見てな」と。

慌てる素振りもなく悠々とおっさんは改札の駅員の所に向かい、決して横柄になることなく丁重にスタンプのことを尋ねているようだった。しばらくするとおっさんはぼくを手招いた。ぼくはちょっと小走りにおっさんの元に向かった。

「ここで捺させてくれるそうですよ、スタンプ」

おっさんの言葉にぼくは歓喜した。

「マジっすか!ありがとうございます!期子さん、やったよ!スタンプ捺せるって!」傍らにいる期子にもぼくは嬉しくてそう伝えた。

「何てこと。信じられないわ。お兄さん、本当にありがとうございます」期子は割りとというか、かなり派手にハゲ散らかしたおっさんに向かって深々と頭を垂れた。

おっさんが先にスタンプを捺すのを見てから、ぼくもスタンプを捺した。新松戸駅のスタンプは、ジオン公国ザビ家の三男、ドズル・ザビだった。当たり前のように「ドズル・ザビ、誰だよ」と思いながら捺した。ぼくはガンダムを知らないのだ。

期子も自分のスタンプ帳にドズル・ザビを捺してから、嬉しそうにぼくの方を見た。二人で「良かったね」と胸を撫で下ろした。

駅の方を見ると、先ほどのかなり派手にハゲ散らかしたおっさんは、もう次の駅に向かって歩みを進めていた。

「あの人がいなかったら、私たちはスタンプを捺せなかったのね」とおっさんの背中を見ながら期子が呟いた。

「うん。救世主だ。メシアだね。ハゲメシアだ」ぼくがそう答えた。

「ハゲメシア、何だかガンダムのモビルスーツにありそうな名前ね」

その後、期子はその「ハゲメシア」という語感が気に入ったらしく、たびたび「ハゲメシア、うふふ」と一人で呟いては一人で笑っていた。「うふふ」は時々「デュフフ」になった。

「期子さん、次に行こうか」ぼくはそう言って次の駅に向かった。

《柏~我孫子》

柏から我孫子間は、特にトラブルもなく順調にスタンプが捺せた。柏のスタンプは「ビグ・ザム」であり、ぼくはいつものように「ビグ・ザム、誰だよ」と思いながらスタンプを捺したが、我孫子駅の「ブライト・ノア」は、初めての「何となく知っている人スタンプ」だった。

「期子さん、このブライトってあれだよね、アムロのことぶつ人だよね」とぼくが聞くと

「そうよ、二度もぶつ人よ」と期子は優しく教えてくれた。

ぼくは少しずつガンダムに詳しくなりつつあった。

《取手》

取手駅に到着したのは、21時を少し回っていた。まさか本当にスタンプを捺す為だけに茨城県まで来てしまうとは。こういう無意味なことにはぼくは本当に愉快になってしまう。取手駅の「ジョブ・ジョン」のスタンプをいつものように「ジョブ・ジョン、誰だよ」と思いながらスタンプを捺した後に、「期子さん、せっかくここまで来たんだから、ちょっとだけ取手駅の周りを見ても良いかな」と断って、駅の外をぐるっと歩いてみた。

取手は、決して小さな駅ではなかった。建物としては大きな部類に入るし、それなりに立派だった。もっと地方都市の寂れた駅を ぼくは想像していたので、ちょっと拍子抜けした。

駅の近くに焼肉屋があって、そこから漏れてくる焼肉の匂いがぼくの空腹を刺激したのを覚えている。

「一人で取手、か」ぼくは思い付いたちょっと悲しいダジャレを口にしてみた。

「二人で取手、よ」後ろから近付いてきた期子が、それを訂正した。

「そっか、二人で取手、か」

ぼくは何となく、世界の片隅に、ぽつんと二人きりで置いてきぼりにされているような気がしたが、不思議と気分は悪くなかった。期子が、ぼくの横でデュフフと笑った。

《南流山》

今回のガンダムスタンプラリー、全65駅が参加していた訳だが、ぼくが個人的に「お前は参加するんじゃねーよ!」と思った駅が二駅あって、一つは尾久駅であり、もう一つはこの南流山駅だ。

南流山駅は、常磐線ではない。武蔵野線である。

つまり、松戸~取手間は全て常磐線一本で話が済むのであるが、南流山駅は新松戸駅から武蔵野線に乗り換えて一駅行かなくてはならない。本日の添付写真にその路線の様子が書かれてあるが、とにかく南流山駅は「わざわざそこへ行かなくてはならないタイプの駅」なのだ。ここが一駅あるだけで、ぐっとスタンプラリーの難易度が上がっている。

南流山駅のスタンプは「カイ・シデン」だった。もちろん「カイ・シデン、誰だよ」と思いながらスタンプを捺した。

南流山駅の周りにはまだ1月22日に関東に降った雪がたくさん残っていて、駅の近くに雪が溶けてそのまま凍ってスケートリンクのようになってるエリアがあった。
ぼくはそういうところを見つけると、普通の運動靴でスケートごっこをやらずにいられないタチなので「わーいわーい」とそこを滑って遊んでいた。

「期子さん、なんでこういうのっていつまでも楽しいんだろうね」
ぼくが尋ねた。

「坊やだからさ」
期子が、答えた。

(続く)

| | コメント (0)
|

2018年2月18日 (日)

『65駅の恋』プロローグ~第一話

『65駅の恋』プロローグ~第一話
唐突にではあるが、当ブログはこれよりしばらくの間、小説の連載に入る。

約一ヶ月に渡って私が取り組んだガンダムスタンプラリーがその題材である。

なので基本的にはノンフィクション小説なのであるが、一つだけフィクションの要素を付け加えたい。それは、一人の女性の存在である。

実際には私は一人でそのスタンプラリーを完走したのであるが、そのスタンプラリーを回っている時にだけ会えた妄想上の女性の存在をフィクションとして付け加えたい。なぜそんなことをするかと言えば、バカバカしさにターボがかかるからだ。そしてスタンプラリーが終わってしまった時の喪失感は、失恋のそれと酷似していたからだ。

私は若い女性よりもBBA系の女性の方が好きなので、彼女の名前は「更年期子(こうねん・きこ)」としたい。「能年玲奈」のイントネーションで読んでもらうと尚良い。

それではプロローグから第一話まで。

《プロローグ》

十五歳の若い天才棋士が将棋界の伝説を打ち負かした直後に、二十三歳の美しいスケーターが氷上で奇跡的な演技を披露し、日本中がそんな快挙に酔いしれたその日、ぼくは秋葉原の路上で確かな達成感と、そして自分でも信じがたいほどの喪失感に包まれていた。

その日、ぼくのガンダムスタンプラリーは終わった。

そして、彼女はぼくの前から蜃気楼のように消えてしまった。

これは、ぼくと彼女「更年期子(こうねん・きこ)」の、地球防衛軍とジオン公国との戦争よりも濃密だった一ヶ月の記憶である。


《第一話》
スタート~松戸

《スタート~松戸》

JRが、ガンダムスタンプラリーを始めた。

東は取手、西は西荻窪、北は赤羽、南は蒲田。東京都、千葉県、茨城県にまたがる全65駅の改札外に設置された「機動戦士ガンダム」のキャラクターのスタンプをスタンプ帳に捺して集めることで、ガンダムのプラモデルがもらえる、という企画である。

初めに断っておくが、ぼくは「機動戦士ガンダム」のことをほとんど知らない。「ぶったね!二度もぶった!女王様にしかぶたれたことないのに!」と、名ゼリフを勘違いして覚えているぐらい、知らない。ちなみにこの間違った名ゼリフは伊集院光のラジオで頻繁に聞くことが出来る。ネタの出自はそこである。

「ガンダム」のことをほとんど知らないぼくがなぜそのスタンプラリーに取り組もうかと思ったかと言えば、ぼくは少々「テツ」であるからだ。漠然と「何となく死にたいなあ」という気分になったとき、ぼくはよく電車に乗る。知らない街に行って知らない景色を見て、少し気分がラクになる。

その日ぼくは、漠然と死にたかった。かと言って実際に死ぬ訳にはいかないので、電車に乗ってほんの少し遠くへ行こう、と思った。

どこへ行こうかなと思った時に、ふと目に「ガンダムスタンプラリー」のスタンプ帳が目に入った。

へえ、こんなのがやってるんだ、エリアはどこなんだろう。うわ、東の果ては取手って!スタンプ捺す為だけにわざわざ取手に行くのかよ!茨城県じゃんか!バカじゃねーの!

そう思ったその瞬間に「今日は取手に行こう」と決意した。

「スタンプを捺す為だけに茨城県」、この不毛さに、一瞬で魅了された。そうだ、ぼくは不毛なことこそを愛しているんだった。

取手へ、向かおう。

ぼくはそう決意した。

後から考えてみれば、この選択は非常に正しかった。65あるスタンプスポットの中でも最も「難所」であるこの千葉~茨城のエリアを先に潰しておく、というのはかなりの精神的なアドバンテージになる。そして金銭的にも良い。このスタンプラリーに必須アイテムである「都区内フリーきっぷ」でカバーしきれていない場所は二ヶ所あり、その内の一つがこの千葉~茨城エリアだった。

ぼくは金町駅から常磐線に乗り、最初のスタンプスポットである松戸駅の改札をくぐった。

スタンプ台が眼前に見える。スタンプのキャラクターは、「ゾック」というモビルスーツだった。再三になるが、ぼくはガンダムを知らない。「ゾック、誰だよ」と思いながらスタンプ帳にゾックのスタンプを捺す。

「タケシくん、それがゾックよ」

ぼくの横で妙齢の女性が微笑んだ。

それが、ぼくと期子の出会いだった。

(続く)

| | コメント (0)
|

2018年2月17日 (土)

モノホンの天才対決

昔から自分でもやっていたせいで、柔道という競技はずっと見続けてきた。

約三十年はリアルタイムで見続けてきている。

その中で「こいつはとんでもねえや」という感じで「天才」だと思った選手が三人いる。古賀稔彦さん、井上康生さん、そして現役の阿部一二三選手、この三人だ。このクラスのずば抜けてすごい選手というのはそうそうお目にかかれない。ものすごくレアである。

柔道ではないが、将棋の世界だが、今日はそんな「天才」二人の対戦がある。

羽生善治竜王と、藤井聡太五段。

空前絶後の強さで将棋会を牽引し続けた怪物羽生善治さんに、次世代のスター藤井五段が挑む。

世間的にはフィギュアスケートの羽生選手に注目が集まっているが、私の注目は実はこちら。

うーん!どんな対局になるのだろう!

個人的にはちょびっとだけ羽生竜王を応援しているけど、でも藤井五段も頑張れ!

わくわくするー!

| | コメント (0)
|

2018年2月16日 (金)

代々木

代々木
代々木駅。

レビル、誰だか知らんけど、なかなか良いこと言っておる。

| | コメント (0)
|

2018年2月14日 (水)

尾久

尾久
恐らく今回の戦いの中で最大の難所の一つと思われた尾久駅を、ついに撃破した。

あ、ガンダムスタンプラリーね。

何だよ、上野東京ラインって。乗ったことねえよ。

ほんでしかも何だよ、尾久駅のボールって。シュール過ぎるだろ。

あ、ちなみにワタクシ、ガンダムは全然わかりません。

| | コメント (0)
|

2018年2月13日 (火)

アップデート

少々憂鬱な「基礎練アップデート」の時期がまたもやって来てしまったようで。

毎日やるピアノの基礎練習があるのだけれど、それを定期的にアップデートする。大体1カ月か2カ月に一回ぐらい。具体的には音を増やしたり変えたり、拍をずらしたり、ということ。

これが結構憂鬱だ。

アップデートした直後にはその練習が全然スムーズにいかない。「こんなことも出来ねえのか!センスの欠片もねーな!おれは!」と自分を責める。

それが一週間か二週間やり続けると段々スムーズになってくる。更にやり続けると、かなり速い速度で正確に出来るようになってきて「おれ天才過ぎる」と調子に乗り始める。

十分に調子に乗ってきた辺りで、乗りに乗ってきた辺りで、このアップデート作業を行う。すると「やべえ!全然弾けねえ!」と再び死にたくなる。

こんなことを繰り返している。

今はだいぶ調子に乗りきっているので、ぼちぼちアップデートの時期がやって来た。いやだよう。また弾けなくなるよう。

音楽道の修業は、本当に終わりがありませんな。それが良いんだけどさ。

本日は岩本町の「Eggman tokyo east」でジャムセッションやってます。19時から。ドラムは南たけしさん、ベースは木田浩卓くんで、キーボードはワタクシです。

自らに「ドヘタ!死ね!」と暴言を吐きつつもへこたれないで頑張ります。

| | コメント (0)
|

2018年2月12日 (月)

追い込み

追い込み
いよいよ最後の追い込みですなあ。

何がって、ガンダムスタンプラリーですが。

高田馬場駅でガンタンクを撃破しました。

ゴールが見えてきた。

| | コメント (0)
|

2018年2月10日 (土)

本日本八幡「cooljojo」でハブバン!

昨日は小岩「Back in time」にてサックス日野林晋さんとのデュオ、ご来場ありがとうございました。楽しくて脳から何かツユがちゅるちゅる出てくる瞬間が何回もありました。今後も脳汁全開でいけるように頑張ります。次回は4月19日です。

本日2月10日は本八幡「cooljojo」にてドラマー羽生一子さんの新プロジェクト「HABUBAN」です。ボーカル鈴木麻美さん、ベース飯田雅春さん、そしてリーダーでドラマーの羽生一子さんに、ピアノがアタクシです。

今日も良い音楽出来ますように!

それと、ずっとなくなって困ってた筆箱が京都のリハスタにあったー!お気に入りの鉛筆もシャーペンも戻ってくるー!嬉しい!

| | コメント (0)
|

2018年2月 8日 (木)

今日はレッスン。明日はライブ。

今日はずっとレッスン。ほんで明日は小岩「Back in time」でサックス日野林さんとデュオライブ。

立ち止まってはならない!

少なくとも、今は!

| | コメント (0)
|

«2月オススメライブ二連チャン